あーや

自由はパラダイスのあーやのネタバレレビュー・内容・結末

自由はパラダイス(1989年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

チラシには”ソビエト版「大人は判ってくれない」と異名を持つ”と書かれていたのですが、本作の大人達は組織の人間を除いて主人公に対して好意的な人が多かったです。
「自由はパラダイス」の頭文字”СЗP”のタトゥーが入っているサーシャはカザフスタンの孤児院に入っている。彼はそこでの生活に辟易していた。彼には遠くの街で投獄されている父親がいるのだが、投獄されているため会う事は出来ない。しかし映画開始早々、サーシャは孤児院を抜け出す。バスを乗り継いで逃げた先の女性の家に匿ってもらうが、努力虚しく朝には補導されてしまう。躾の厳しい孤児院で折檻され、院内の子供たちにも恨みを買われた。しかしサーシャは諦めない。またすぐにトラックの荷物の陰に隠れて脱走する。トラックから貨物列車に乗ったサーシャと荷台で時間を過ごすのは耳の聞こえないおじさん。一緒にトランプをしたり、同乗している馬を撫でたり、横たわって眠ったり・・。耳が聞こえていなくても2人の旅が刹那的で楽しそうだった。ところが電車を降りて歩き出したところでサーシャは警察に捕まって再び孤児院に連れ戻されてしまう。もちろん孤児院では監視の目がより厳しくなる。しかーーし、まだまだサーシャは諦めない。自由と父を求めて。「釘を飲んだ」と嘘をついて病院に連れて行かせ、暗いレントゲン室から付き添い人の目を盗んで再度脱走!通りすがりの青年から金を奪って電車に乗り、別の乗客の金を盗もうとしたところをバレてしまい、車掌のところに連れていかれた。しかしトイレに行きたいと嘘をついて金を渡し、トイレの窓から逃げ出した。ヒッチハイクをして船に乗り、イスラム教徒の装いの女性に母親に扮してもらってやっと監獄にたどり着いたサーシャ。精神を病んでいる父親とも会えたのだが、父親の独り言のような会話で終止する。しかし弱い父親に会えたことで反対にサーシャの心は少し強くなれたようでした。そんなサーシャは朝にはまた孤児院に連れ戻されるのでした。
どうしようもない父親のために何度も諦めず脱走を繰り返すサーシャの心意気に胸を打たれました。決死の思いで脱走していたんだなぁ。そしてそんな彼を行く先々で支える大人達の優しいこと。言葉少なでも道行く大人達から優しさを引き出してしまうサーシャのロードムービーでした。
あーや

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