ーcoyolyー

メラニーは行く!のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

メラニーは行く!(2002年製作の映画)
3.4
ロマコメの女王やってた頃のリース・ウィザースプーンはいつもどこか苦しそうで、それが気になっていた。リリー・ジェームズのディズニープリンセスが窮屈そうな雰囲気と近いんだけども、それでもどこかまた違うのはきっとリース・ウィザースプーンはヴィランをやりたがるタイプともまた違うからなのかな、と気付いた。この人はきっとどこまで行っても優等生だ。優等生なので自分の本質と相容れないだろうハリウッドの流儀に過剰適応しようとして壊れたこともあったんだろう。ロマコメの脚本の粗雑さに耐えきれないこともあったんだろう。「南部出身お馬鹿なブロンド娘」を求められても彼女は知性を捨て去ることができない。今回の作品でいうなら雑なアウティングで笑いを取るとかそういう部分嫌だったんだろうなと今なら分かる。

リース・ウィザースプーン主演作が他のアメリカ産ラブコメ・ロマコメと違うのって笑いの音なんです。こういうジャンルの映画やドラマは私が極端に苦手なアメリカ人のわざとらしく大袈裟で攻撃的なけたたましい笑い声をここぞとばかり連発してきて辟易として精神が極端に削られるのに、リース・ウィザースプーン作品はそういうことが一切ない。それはきっと主演のリース・ウィザースプーンがそういう笑い方を一切しないから他の出演者も演出でも控えざるを得なくなっているからで、これはきっと彼女の静かな抵抗・静かな戦いでもあって、他の誰にも気付かれてなさそうなそういう部分を私は積極的に評価していきたいです。彼女や他の誰かのこういう静かな戦いがリリー・ジェームズのあのパメラ・アンダーソンに結実したんだと、リース・ウィザースプーンと同じ1976年生まれの私はそう考える。私には彼女ができなかったこと、できなかった時代が分かる。彼女や彼女たちや私ができなかったことができるようになった時代が訪れたことを寿ぐこともできる。これからもそういう大人であり続けたい。
ーcoyolyー

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