このレビューはネタバレを含みます
冬の寒さと山の暗さ怖さが無機質で、どうしようもなく抗えないもののように見える。ドイツ兵も無機質で怖く、通ずるものがあるのかな。
子ども目線で描かれる戦争は、戦闘シーンも爆発も銃撃もなく静かなもの。ジュリアンが経験したことが映されていて、BGMは劇中で演奏される楽器やうたのみでリアルな寄宿舎の生活感がよく伝わってくる。
戦況も分からないしなぜユダヤ人が迫害されるのかも分からない。でも子どもが知りうる世界の中にも、戦争はあった。
男の子だけだしまだ10代前半だろうから、あのわちゃわちゃしたやり取りはあるよね。けっこう激しめと思うが…常に半ズボンだからなおさら痛々しい…。まぁあの年代なら多少のケガなんてお構いなしだろうけど。
子どもたちやり過ぎだろ、とジョゼフには途中まで同情していたが、最後に繋がる展開だったのか。にしても反ナチスで慈悲の心を説く校長が、貧乏なジョゼフにだけ厳格過ぎるかなと感じたが、正しいことを行うという信念に反するからなのかな。
保健室の先生の「義務よ!」という叫びが、本当にどうしようも無い状況を表していて切ない。そしてラストでの神父さんのセリフと、短いナレーションは本当に悲しい。