コバチ

クロノスのコバチのネタバレレビュー・内容・結末

クロノス(1992年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

今や飛ぶ鳥を落とす勢いの売れっ子映画監督になってしまったギレルモ・デル・トロのデビュー作。



古代の錬金術師が作った、使う者に永遠の命を与える黄金の虫の形をした機械クロノスを誤って使ってしまった主人公のおじいちゃんが、クロノスのチカラによって吸血鬼にされてしまい息苦しい生活を送る話。ホラーというかファンタジー映画ぽい。(ネジを巻くと爪が出て人間に刺さり、謎の毒を注入するクロノスが、ジョジョの奇妙な冒険に出てくる石仮面を髣髴させるが、この映画の上映が93年でジョジョの連載開始が87年なので、ギレルモがジョジョを呼んでいたのかは不明。読んでいそうだけど、当時ジャンプって海外で発売していたのかな?)


昆虫の凄さを力説するクロノスを狙う金持ちやその部下、明るい死体化粧師、喋らない孫など個性的な登場人物が多い。
また、クロノス自体の造形やギミック、孫の部屋の屋根の穴や屋上での決闘など、その後のギレルモ作品に通じる独特な映像美も見所である。

不満を言うなら上記したが、この映画は人を怖がらせる事を目的としたホラー映画のとして観ると消化不良になるだろう。
皮膚を破いたりするグロシーンがあるが、血飛沫などがないのでそれほどグロくなく、低予算映画なのでそんな凄いシーンはない。
吸血鬼映画だが、主人公は空を飛んだり使い魔のコウモリを飛ばしたりすることはなく、驚異的な回復能力と血への渇望のみなので、吸血鬼というかグールぽい。そうゆう意味で吸血鬼映画として観ても残念な気持ちになるだろう。

しかし、ストーリーや演出は初監督とは思えない素晴らしい出来なのでオススメ。


余談。
最後を観ると、身体が崩壊しないようにするには、クロノスを取り付けて定期的に血を抜かれて毒を注入されないといけないって事なんかな。クロノスに血を吸われるから、その分誰かの血を吸わないといけないとか?
コバチ

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