ねこ無双

ウェンディ&ルーシーのねこ無双のレビュー・感想・評価

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)
4.8
寂しげなハミングから始まり、ハミングで終わる。
さざ波のように小さな出来事が起こるが、主人公にとっては大きなアクシデント。ミシェル・ウィリアムズの表情から目が離せず、彼女の旅を見届けた。

ウェンディとレトレバーの雑種犬ルーシー、車での二人旅。オレゴンで突然車がエンストして、立ち往生。
立ち寄ったマーケットでドッグフードを万引きをして捕まっている間に、ルーシーがいなくなってしまい、ルーシーを探すためにこの街に足止めを食らう。

ミシェル・ウィリアムズが好きです。いつもは色っぽいのに、こんなボーイッシュな彼女を観るのは初めてかも。女ひとり旅で自衛故か、身なりに構う余裕がないせいか、黒髪で切りっぱなしのようなショートカット。スーツケースもなく、持ち物はリュックの中。所持金はあとわずか。

彼女の小さな微笑みはいつもすぐかき消されてしまう。悪意のある人達じゃなくて、ただ自分のやるべき事をしているだけ。それ以上をしないだけの事。
「餌も買えないなら、飼うべきじゃない」と言う店員の言葉が無情だった。その通りではあるんだけど、ルーシーを心の支えにしているウェンディにその言葉が響かない筈はない。
駐車係のおじさんを含め、彼女やルーシーに優しくしてくれる人がまだいてくれて良かった。
まだ旅の途中。流れていくだけ、の空気感が寂しい。