ねこ無双

1942奇談のねこ無双のレビュー・感想・評価

1942奇談(2007年製作の映画)
3.8
古き日本の怪談を思わせる韓国ホラーミステリー。
静寂に響く研ぎ澄まされた音、恐怖を増幅させる間、演出にとても好感が持てる。
和と韓国様式とモダンが組み合わさったしっとりとした映像美。
愛情が哀しみと恐怖を連れてくるストーリー。

この監督は後に『コンジアム』を撮るんですけど、同じ作風にはとても思えない。
ホラーとしてはもう一押し欲しい!と思えたけど、病院怪談という一つの世界を作り上げてるのが良い。

1979年、アルバムを眺め1942年に男が思いを馳せるところから物語は始まります。

🐾
1942年、日本統治下の京城。
日本人の病院長が経営する安生病院を舞台とした3つの物語。
3つの物語はやがて一つの物語となる。

一話目は氷の下で凍死した女子高生の死体に魅せられた医大生の自分。
二話目は交通事故で運び込まれ、家族の中で一人生き残った日本人少女の話。
彼女の罪と罰の話。
三話目はこの病院に赴任してきた共に医師として働く夫妻の話。影が無い妻(文字通り)。その秘密とは。

一話進むごとに数日遡っていき、最後に全てのつながりが見える。オムニバスというよりも併せて一つの物語を見せられたようでもある。
ちょっとわかりづらいところもあって、残る謎を理解するために私には振り返りが必要だった。

脳外科手術で後頭部をぱかっと切り取り脳を部分的に切除して取り出したり、かんざしでめった刺しなどちょこっとグロ表現もあり。

以前『屍憶SHIOKU』という台湾映画で冥婚という風習を知ったんですけど、今回またそれが出てきて嬉しかった。
冥婚とは死者を不憫に思い、生身の人間との結婚式を挙げさせるという風習(この映画には出てこないけど、落ちてる赤い封筒は拾っちゃだめらしいです。。)
死者と結婚後に、生者と結婚も可能なんて書かれてる記事もあったりして。