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パリ、テキサスのkoyaのレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
4.5
人と人との距離を描いた映画。

一度、壊れてしまった人間関係はもうどうしようもないけれど、それでもできる限りのことをしようとする映画。

引き算の美学の映画です、多くを見せない、語らない、描かない、そして見せる。

登場人物も少なく、フランスのパリもテキサス州のパリも出てきません。

この映画の当時、1980年代はまだ携帯電話がないから、伝えたくても伝わらない、簡単に連絡はつかない、だからこそ、余計な詮索はされない、という良さもあり、今の時代では作れない映画。

ライ・クーダーのギターサウンドが砂漠の風景に重なり切なさ倍増。

香港のウォン・カーウァイ監督がアメリカで撮った『マイ・ブルーベリー・ナイツ』も似たような雰囲気を持っていました。

ドイツ人であるヴィム・ヴェンダース監督の思うアメリカは華やかだったり活気あふれるというより、広くて、埃っぽくて、荒涼として、水分がないような世界。

カンヌ国際映画祭でパルムドール賞を取ったように映画祭的映画ですが、観終わった後、重いものを残す映画。
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