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パリ、テキサスのshino438のレビュー・感想・評価

パリ、テキサス(1984年製作の映画)
3.0
なんとなく「意識高い系の人がやけに勧めてくる」映画だと思っていて避けてたんだけど、ようやく観た。ダブルのスーツにヒゲモジャ、赤い帽子の主人公と、異常に美しすぎるナスターシャ・キンスキー、タイトルの「パリ・テキサス」という謎の組み合わせで昔からずっと気にはなっていた。

アメリカの砂漠を彷徨う謎の男の「自分を取り戻す」ロードムービー。ドイツ人監督が撮った現代のアメリカンウエスタン。4年間行方不明の男。息子を捨てていなくなった女。男の弟夫婦に預けられて育った息子。3人の絆を取り戻すために、男はオンボロ車で旅をするお話…。

とにかく話はかなり端折っているので、行間をめっちゃ読む映画。行間を読みすぎて色々自分を重ねてしまう。男だったら「全部自分が悪いって事で別れた彼女に謝りに行くために日本を縦断する」なんてシチュエーションは絶対大好きだ。それも謝りに行く相手がナスターシャ・キンスキーなんていうこの世のものとも思えないほどの超絶美女だったら尚更。彼女が登場するシーンはマジで息が止まりそう。それがどんな職業の女だったとしても。

とにかく夜のシーンがどのシーンも素晴らしい。夜になるギリギリの夕暮れとガソリンスタンドやホテル室内の無機質は人工の光の組み合わせは必見だと思う。主人公ハリー・ディーン・スタントンの「ダブルのスーツにヒゲに赤帽子」のスタイルが格好良いとずっと思ってたんだけど、結構序盤で着替えるのが残念だった。なんとなく「バグダット・カフェ」に似た雰囲気があるけど、こじらせたオッサンにはこちらの方がグッと来るかも。全編を流れるライ・クーダーが最高なのは当たり前。
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