shino438

アップグレードのshino438のレビュー・感想・評価

アップグレード(2018年製作の映画)
3.0
「リベリオン」+「ターミネーター」+「2001年」+「未来世紀ブラジル」みたいな映画。低予算SF映画なのにアイデアで一気に観せてくれる。ジャケットもタイトルも俳優も全く興味持てない感じなのに観ようと思ったのはずばり「90分」で終わるから。

「一つのアイデアで映画が面白くなる」ジャンルはホラーとSF映画が一番ハマってる気がする。たぶん現実離れしてもそれが現実ではない事を観る側が許容できるから。ジャンル映画になると「多少の粗さは許す」雰囲気があるのかもしれない。本作もそんな許容範囲の中で最大限面白さを活かした映画でした。

妻を謎の集団に殺され、自身も脊髄を損傷し全身麻痺となっていまった主人公が謎の機関からAIチップを埋め込まれる事で、殺人マシーンとなる。ざっくり言うとそれだけの映画なんだけど、まず「なんとなくこんな未来があっりそう」な雰囲気が上手く表現できてる(ドローンが常に街を監視している、とか強化人間や介護技術のAI化とか)ので、そこで起こる出来事にスーッと入れる(SF映画でこれはとっても重要)。低予算からなのか「起こる出来事」「出てくる人物」もかなり絞っているので、ブレることなく筋が進むので、復習の鬼となる主人公に乗り切れる。要はあまり色々と考える事なく最後まで一気に観られる。

主人公の体をAIが乗っ取るアクションは「ターミネーター」や「マトリックス」のような感じで良かった。このアクションだけで「リベリオン」みたいなカルトになるかも知れない。AIはネットに繋がっているものはすべてハッキングできるが、スタンドアローンなもの(昔ながらの車や、アナログな盗聴器)には反応できない。またAIが体を動かさないと主人公は全身麻痺にもどってしまうので、一気に形勢が不利になってしまう。どうやってこの危機を乗り越えるのか?

ストーリーとしては、出ている役者がみなほぼ無名の人なので(トム・ハーディ似の誰かとディーン・デハーン似の誰か)なんとなくしっくりこない(奥さんについてはほぼ何も描けてない、天才科学者と主人公の関係についても特に掘り下げてない)ところもあるけど、それは「初めて見る面白い低予算映画」としては許容範囲なのであまり気にならない。アイデアとアクション、そしてVRの伏線を強引に絡めた嫌な感じのラストまで一気に観られるのは、とにかく「95分」でまとめた事。世界観の説明が必要なSFでこの時短はすばらしいと思う。
shino438

shino438