むらみさ

キネマの天地のむらみさのレビュー・感想・評価

キネマの天地(1986年製作の映画)
4.3
役者含めた活動家のリアリティがたくさん詰まっていて、本作に関わった人びとは皆楽しかったんじゃないのかなぁ…
嘘の世界で繰り広げる本音。

役者たちに、活動家(脚本部含め)の本音を言わせたり、浅草レビューから活動写真へ転身して精進してこられた役者(いわずもがな渥美さんですが)に役者論を語らせたり。
若手監督が作りたいもの、先人たちが作ってきたもの。
それらを語るセリフを誰に言わせているかで、伝わるニュアンスがいろいろに異なり面白かった。
平田満さんのセリフ
「なけなしの財布叩いて、泣いたり笑ったりしてる大衆に、もっと責任持ってくれよ」「どうしてもっとやさしく映画を見ないんだ。どんな下らない映画でも可能性を持っているばずだぞ、信じろよ映画をー」
このセリフは心に迫るものがあった…
山田洋次監督作の脚本の良いところがすごく伝わる。

共産党員の小田切先輩(平田満氏)と島田(中井貴一氏)のやり取り、父親(渥美清氏)と屑屋の男(笹野高史氏)のやり取りなど、印象的な場面多し!ずっと見ていたい気にさせられる。
小津安二郎がモデルの緒方監督(岸部一徳氏)の扱いも微笑ましい(笑)
愛されていたんですね…松竹蒲田の人びとに。
有森也実さんは、若き時代の竹下景子さんを思わせる清楚さ。

山田組の映画を愛している方には、本作の配役に愛を感じると思います。
むらみさ

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