むらみさ

ニュー・ミュータントのむらみさのレビュー・感想・評価

ニュー・ミュータント(2020年製作の映画)
3.6
本作は人間の精神の成長や感情の制御などを視覚的に見せてくれる、感受性過多メンターなじぶんには学ぶところの多い内容でした。

オーシャンズ8のレビューでも触れたけれど、やはりキャラクター各々のドラマをいかに効果的に編集するかで物語のテンポが決まるので。
90分にこれを盛り込んだのは見事!
ミュータントにはかならずトラウマティックな過去があるというお約束は、観賞者の補完能力を信じて見せる部分だけに絞り、
じぶんをどう受け入れていくかの過程に絞った本作はとても魅力があります。

敬虔な信仰者であるレインが聖職者に裏切られたりする場面や、正常か異常かの2極の元にしか結論付けられない西洋医学者という立場のレイエスに全幅の信頼を置いてしまう未成年の皆の様子を見ると、西洋人の西洋人たる“人間としての檻”みたいなものの存在が見えるーというか。
そこに思春期に捨てていく過去への恐怖や思慕が重ねられ。

絶対にその普通からこぼれ落ちてはならない基準からはみ出たマイノリティを描く手段としての【ミュータント】という題材
それが本作だったんじゃないか……と捉えて見てました。

じぶんこそがじぶんを救う
そういう自己肯定感がちゃんと描かれることが、いまの若い世代向けのエンタメには必要な気もします。
それが単なる主観的な我がままに見えるか、それとも客観性を持った自己肯定感になるのかは結構演者さんの上手さに任せられてしまうのですが、

もともと演者全員に期待して見たので、そこも皆ちゃんと各々のストーリーを感じさせる上手い方たちでほんと、素敵でした。
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