むらみさ

TENET テネットのむらみさのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
3.8
TENET(主義)
エントロピー
アルゴリズム

わからないなりに調べてから臨んだTENET!
全然わからないよ………? 笑

けれどパラレルワールドとして存在する未来だの、タイムパラドクスをファンタジーの手法では理解して愛でてきた者としては、わからないなりに想像力で補うことはできてしまうのですよね……
フィクションが好きな人間にはこの世界観、共有できてると信じさせてくれる何かが…ある!!
確たる論理的説明はできないけれども!


目には見えないものを描くファンタジー
ずっとそこに救いを求めてきたじぶんでしたが、物理的に説明できるかたちのエンタメで魅せて、救いを見せてくれるクリストファー・ノーラン監督作はおもしろい。

映画的なロマンチシズムと論理的手法で作る小難しい内容って両立できるのですね。しかもわかるひとにだけわかれば良いという結論にも収まっていないあらすじで。楽しい。

自分を救うのは自分しか居ない、だとか
時間を共に過ごすうちに愛していく人たちを裏切っていたのは実はまぎれもなく、、だとか……
見終わったあとどうしてこんな気持ちにならなきゃいけないのだろう…
それもまた、フィクションが果たすひとつの役割なのですよね

ただなんというか、ここまで個人の都合で時間を操る必要性があったのならば、もっと‘個’を描きわけて欲しかったのは、ある。
男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)とセイター(ケネス・ブラナー)しかキャラ立ちしておらずあとは記号か?!という位生身の人間感が得られない。各々の魅力が立ち上がってこないというか。。
(ケネス・ブラナーはご自身でこのセイターを‘個’にできる演者だっただけかもしれないけれど、、)
味方も敵も記号的。
女子どもを護りたい目的も記号的……というのは。

エントロピーの可逆性を握って自由に時間を遡ったり進んだりできるちからを手中にしたとして、所詮は個人の感情が入り込むのだから、そこが説明不足なために没入できない、ということはあった…。
観賞者に委ねるにしても、もっとキャラクターの癖を込めてきてくれてもよかったよ…!ノーラン!!

理解できない人たち(じぶん含)も巻き込んでしまう力量がいちばん尊いのかもしれない、、
本作がコロナ禍で作られ、公開もされたという事実も含めて後生に残ればいいなぁ。
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