むらみさ

ロマンスドールのむらみさのレビュー・感想・評価

ロマンスドール(2019年製作の映画)
4.1
死に一歩一歩近づいていくときに感じていたいのはたぶん、生きていることを毎時間実感できる何か、
じぶんの身体の輪郭、触感、誰かの体温、
SEXはいちばんじぶんを感じられる行為で、じぶんを忘れられる行為。
もしその最中に相手から愛を伝えてもらえたら。自己肯定感を抱いたまま、最期の瞬間まで生きられるのだろう。


園子(蒼井優)を最期の瞬間まで愛し尽くした時から始まった哲雄(高橋一生)の美術家人生は純粋にじぶんだけの為のもの。

木材を組んだ上から荒縄を巻いて、粘土で身体の輪郭をつけていく。その行程はブロンズ彫刻の過程と全くおなじで、人間のからだそのものを立体に再現する崇高さは見ていて惚れぼれした。

彫刻は時の止まった展示室か、収納されて保存され陽の目を見ないこともある‘止まった美術品’なのに対し、【そのこ】は生きている人たちの元へ届く。
その事がなんとも言い様のない希望があって。ジョークグッズの必然性に蓋をしないところも含め良い映画だなぁと。


【この先ややネタばれあり】
主演ふたりに加え、摘発上等で背中を押す瀧さんと失ったひとの悲哀を背負ったきたろうさん、
そして最期の
少年たちとのやり取りと奥さんへの賛辞のセリフが!最高にいいです。
むらみさ

むらみさ