大勢に無条件に受け入れられる とか、
思考から離れてからだの感覚のみになる とか。
じぶんの意識から離れてすべてを受け入れてしまいなさい・という協調に取り込まれてしまうことの、なんと開放的なことか……!
無能なひとつの点になりきるユートピアと、押し流される恐怖は表裏一体。
鬱的な思考のかたまりになってしまったダニー(フローレンス・ピュー)から見たホルガ村の世界はある種の救いになっていたので、後味としてはそんなに悪くなかったのが観賞後の利点であり驚きでした(笑)
死に至るストーリーを作る‘様式’というものを丁寧に描くとこんな大長編になってしまうのだろうけど、それがあるだけまだ救われますね………!!!
理解しろと言われるよりも、放り込まれた時にその尊さがわかる映画なのかな。。 w
女たちを集めて躍り続ける場面で、あの愉しさと最期まで躍り続けるカタルシスみたいな感情を共有して笑い合うところ。
あそこは同調圧力も忘れて楽しくなってしまっているじぶんがいました…
職業柄(薬に関わる仕事をしており)、自然の植物を基に作られていた薬やら食べ飲み物が日常に活かされている点はホルガの歴史を感じましたし、逆説的に死生観も根拠がある様に見えてしまいましたね。。
薬草をドラッグだと理解して多用しているなど。
現代ではドリンク剤がその位置にあり、中身を理解して使用している人の少なさから顧みると、理解して使っているホルガ村は知識的に制御できていると見えてしまいます。
ひとの精神なんて簡単に騙せてしまうのですね。
身近なひとの死に‘意味’が感じられず、死への道程に執着して生きていかざるを得ない状況がきっといちばんツラい、という経験もあると思い。
そういう部分で、意味のある死を選ばされるとか、じぶんの意思とは関係なく死ぬことが尊い・という価値観に囚われることが救いかもしれない。
本作は、生きようとする意思の薄いときに見ちゃマズい内容です(笑)
ラース・フォン・トリアー監督作などを通過してしまっている為、(本人には)無惨な死をこんなにも丁寧に描くのが新鮮過ぎて驚きです…!
死者にも慈愛のあるホラーとでも言いますか…(生きている方が都合良く造り上げるものでしかあり得ないにも関わらず)
少なくともダニーが劇中でそうであった様に、異常性に嗚咽するじぶんに寄り添ってくれる優しさはあるという。
ある場面でリアルに嗚咽して寄り添っていたのには、爆笑しましたけれども。
違和感だらけで窒息しそうになるタイプのホラーとは一線を画すものがあり、次作も楽しみかもしれない…w