ゆうすけ

第三の男のゆうすけのネタバレレビュー・内容・結末

第三の男(1949年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

古典サスペンス映画の名作。第二次世界大戦直後のウィーンに友人であるハリーを訪ねてきたアメリカ人ホリーだったが、彼は10分前に交通事故で死んだと聞かされる。その事故に疑問を持ったホリーはハリーの死の真相に迫るという話。

ハリー役にはオーソン・ウェルズ。彼はあの古典の名作『市民ケーン』(1941)の監督でもある。少し童顔な気もする特徴的な顔立ちが、この役にちゃんとはまっています。彼の雰囲気がこの映画の雰囲気を作っているとも言えるほどかなと。

「死んだと思われていた者が実は生きていた」というのもいいけど、最後「本当に死ぬ」までがセット。やっぱり、これがないと芸術点低くなっちゃいますね。
善行のための死の偽装(『007は2度死ぬ』(1967)など)は全然良いのですが、悪行を行うための死の偽装は、やはりそれが現実になってこそカタルシスがある。これがしっかりできているのはこの作品のいいところ。それが、映画冒頭が偽装された死の葬式であったのに対し、本当の葬式で物語が終わる。この、最初と最後のシーンが同じ行為であるのに中身が違う対比になっているのもまた良い。

斜めのショットや、影を印象的に使うことで、不気味さや不誠実などがきちんと描写されているのも評価したいです。

ただ、主人公ホリーが映画の終盤で、ハリー逮捕に協力するかしないかはっきりせずに、すぐ説得されて右往左往するのがあまり好きじゃなかったです。
ゆうすけ

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