新潟の映画野郎らりほう

マイケル・ジャクソン THIS IS ITの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

5.0
【MAN IN THE MIRROR】


表現の高みを目指す者達のバックステージドキュメンタリー…。
或いはMTV時代を開き ハリウッドミュージカルに引導を渡した筈の男に、アステアやらウェストサイドやら数々の「映画」が見える「ミュージカル映画異形の嫡子」…。
或いはポップアイコンが ショービズを志す者達に与えた計測不可のワールドワイド&ロングスパンの波及力…。
或いはアトラクション、イリュージョン、ムービーへのアプローチによって従来概念を覆すコンサートの形式…。

そんなのはどれも論点じゃない、それらは皮相に過ぎない。

これはただ-幸福な映画-なんだ。
音楽を愛し、愛された男の、これ自体が『Love Song』であり極めてRomantic(想像的)な『Love Story』なんだ。
無論 音楽への計り得ぬ愛情の果てには人への想いがあり ~『ファンが、最初に聴いた、イメージ通りの音を…』~ この瞬間こそが、ゲスト(観客)等一人も居ない筈のホストだけのリハーサルに[観客への想い]が溢れている事を我々は識るのであり、同時に[永劫不在MJへの我々の想い]と響鳴し、それがホスト無き我々ゲストだけのコンサート(This is it)であると気付くのだ。 ~それぞれの不在をお互いの[想い]がどこまでも補完し合っている事を~。


繰り返して言おう、これは幸福な映画であると。 だからその事を教えてくれた『鏡の中で真っ赤に眼を泣き腫らした貴方』に言いたい。
Smile-「笑って」-と。




《劇場観賞》