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モダン・タイムスのabeeのレビュー・感想・評価

モダン・タイムス(1936年製作の映画)
4.1
【知らない間にただの「歯車」になっていませんか?」】

私は幼い頃テレビをあまり見ずに育ったため、先日亡くなった志村けんさんの番組なんかは特に縁が無かったんです。
お笑い番組やバラエティは子どもに悪影響だと思ってたんでしょうね。クレヨンしんちゃんとバラエティ番組は特に見せてもらえず…ドラマも中学入るまで見たことなかった笑
なので志村園長のイメージが1番強いです。

昨日、志村さんの追悼番組で初めてドリフやバカ殿さまのコントを見ました。
偶然にも昼にBSで今作、「モダン・タイムス」を鑑賞しました。
するとドリフや志村さんの芸というのは少なからずチャップリンの影響を受けているのだろうと感じさせられました。

例えばドリフのスイカ早食いは今作の自動給仕マシンのトウモロコシとよく似ていましたし、言葉ではなく動きで笑いを取るそのスタイルは和製チャップリンなのかなと。

ところで本作、「モダン・タイムス」は資本主義社会を喜劇的に風刺し、またそのメッセージがとても分かり易いのです。
ベルトコンベアが動き出すとネジを回し、止まれば止まる。いつのまにかそんな機械になってやしませんか?と。

この作品はサイレントからトーキーへ映画が移行し始めたころの作品なので、セリフを用いているシーンもあります。
でも、サイレント作品の良さというものを感じる作品でした。
なんせセリフが無いので短い字幕で状況を簡潔に説明しつつ、長ったらしいセリフは一切無く全ては登場人物たちの動きで表現するので、2時間に満たない時間の中で二転三転次々とストーリーが展開しますし、もちろん喜劇という作品の性質もありますがテンポがとても良いんですよね。

ということで、チャーリー・チャップリンという人物が王と呼ばれる理由を思い知りました。
こんなにも面白いものが溢れている時代にあっても、そのメッセージも、笑顔も、変わらず観客に伝えることができるなんて偉大という以外に表現の仕方がありません。
こんなにも普遍なものってあるんですね。

バカ殿様もね、初めて見たけど楽しかったです。
なんかバカ笑いする感じではないんですけど、幸せになる感じでした。
私はひとみおばあさんが好きでした😊

寂しいけど、偉大なおじさんだったなと、心にぽっかり穴が空いてしまったようです。
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