B5版

ジュラシック・パークのB5版のレビュー・感想・評価

ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)
3.5
ジュラシックシリーズは絶賛稼働中ですが、なんてったって一作目が一番好き。
何年たっても最上級にトキメキをもたらしてくれる。

今日び珍しくないCGは、当時どれだけセンセーショナルなものであったか。
人々が夢見た、希望に満ちた近未来。
右肩上がりに進化していく社会を、何の懸念もなく信じていたであろう古き良き時代に想いを馳せる。

画面を賑やかすスペクタクルなテクノロジーを夢幻で終わらすことなく、近い現実の産物になるだろうと大人も子供も揃って目を輝かせたのでしょうね。
劇中の太古の生き物が人類の叡智を以ってして蘇るという偉業と、本作の映像化を可能にした映画史の技術的栄光といったメタ的な当時の興奮と感動が伝わってきて心が躍ります。

創造主は人間を生み出し管理をしたが、人間は神の教えに背き楽園を飛び出した。
神にも出来なかったことを人間が成し遂げようとは笑止千万、とばかりに幻の楽園は阿鼻叫喚の地と化していく。
人間の傲慢さも生命の柔軟さもゴールを持たない。
首に括られた縄を華麗にすり抜け生きる道を模索して獲得する生物の逞しさや畏敬の念が伝わります。
今見ても、今作は画面映えの良いエンタメ性に特化している様で哲学的な生命倫理に関する誠実なメッセージも篭った熱い作品ですね。

身勝手で、けれども人生の集大成の到達地点であった夢の島。
美しい浪漫が敗れた老人が遠くを見据えて夢の終わりを苦く噛みしめるシーンは大人になり疲れてざらついた心に刺さります。

ラスト、大円団の終わりに遠い水平線からやってくるのは、地球の表舞台から下りた恐竜たちではなく、彼らが時代を全うし次の世代に繋がれた鳥の群れ…
爽快ながら苦い静寂があり、完璧な幕引きですね。

あとはやっぱあらゆる場面が絵になる画面映えのショットも好き。
特にヴェロキラプトルとの最終戦〜ラストまでの格好良さは半端ない。
ヴェロキラプトルにテロメアのコードを投影するシーン、ティラノサウルスの雄叫びをあげるシーンは純粋にカッケー!と思うし、その後のシリーズが様式美として継承したくなる気持ちもわかるってもんです。 

今のシリーズも悪くないけど、何度も見返しちゃうのは旧版だな〜
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