ばーとん

女の都のばーとんのレビュー・感想・評価

女の都(1980年製作の映画)
4.6
人生で多くの女を口説き続けてきた伊達男が、たまたま迷い込んだフェミニズムの館で、女たちから弾劾と嘲笑の憂き目に遭う。1万人斬りの性豪が反動勢力のレジスタンスのごとく登場するが、女警察によって逮捕される。「女の都」はまさにフェミニストが言う「女だけの街」が存在するifの世界を描いた愉快なディストピア映画。この都がドラッグと性犯罪が蔓延るカオスと化しているのが興味深い。

中盤フェリーニらしい美しい走馬灯が展開される。ところが夢のような滑り台の行き着く先はフェミニストの用意した牢獄だ。裁判にかけられ、女の群衆にバッシングされるマストロヤンニ。自らの手がけた映画が女たちに検閲されキャンセルされるという悪夢。女への嫌悪と罪悪感が鬩ぎあう。

夢から覚めたマストロヤンニの乗る列車には何人もの女が同乗している。列車はトンネルに吸い込まれていく。悪夢は永遠に終わらない。最後の最後で見せたトンネルの先の光は、それでも女に絶望しきれないフェリーニの愛情か。後期フェリーニの傑作。
ばーとん

ばーとん