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サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUSのyuminagabeatoのネタバレレビュー・内容・結末

サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS(2000年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

何の予備知識もいれずに鑑賞。相手の心を読むサトリの逆でサトラレとはいかにもなタイトルだとは思ったがストーリーが秀逸で一気に引き込まれた。彼らサトラレが天才であるがゆえの保護と活用が国家的プロジェクトとして広く周知されている設定も無理がなく、地元住民にとっては相当なストレスとなる彼らを受け入れることで、地域が国家の支援を受けられ発展するという構図は、大きくは原発、小さなものではクリーンセンターのようなデリケートな問題を持つ公共施設を受け入れる地域の本音を見ているようで面白い。サトラレに自分がサトラレであると悟られないよう、心が透けて見える人とどう向き合うかというコミカルな雰囲気から、内容は次第に人はどこまで正直になれるか、医者はどこまで患者に正直であるべきかという問題へと変化していく。本当に厄介なのは人を欺くための嘘よりも自分を偽る嘘だというセリフが身に染みる。どうやらいつの間にかサトラレを見守る側に感情移入してしまっていた。だからこそ周囲の心遣いで祖母の願いどおりサトラレが執刀を任せられるシーンには感動した。患者が真実を知った時点でサトラレが執刀しても問題ないよねって思えた瞬間、一気に道が開けたようで、そのとおりの展開になって自然と涙が出た。主人公が正直な気持ちをさらけ出したままで執刀できて本当によかった。ただ一点惜しむらくはそのクライマックスの手術シーンでBGMがほんの少し大きめだったこと。音楽自体すごく良かったので役者さんのセリフが聞き取りづらかったのが余計残念。それを除けば全てに大満足。精神科医を演じた鈴木京香さん、もう少し若い感じの女優さんの方がよかったかな、なんて思ってごめんなさい。最後まで観て、この役はやっぱり鈴木京香さんでなければならないと納得。漫画が原作だったことをエンドクレジットで知り是非原作を読みたくなった。そんな映画だった。
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