ーcoyolyー

ザ・ロイヤル・テネンバウムズのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

4.5
Disney +解約する前に久々に観た(こういう場合の例に漏れずすっかり内容忘れてたり、ある登場人物の行動が他の人物の行動にすり替わって記憶されたりしていました)。
ウェス・アンダーソンで一番好きなのやっぱ初体験のこれかもしれない。60年代のパリに近い感じで私は90年代のNYが好きで憧れてたのかもしれないな。ツインタワーがまだ朗々とそびえ立っていた頃のNY。ウディ・アレンやカサヴェテスなどNYを舞台にしていたり根城にしていた人々の映画も研究し尽くしてこの映画に臨んだことも今ならわかる。

私が好きなパリは『地下鉄のザジ』のパリであるのと同じくらいの私の好きなニューヨークは『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』のニューヨークだわ。すなわち私は完全にその地を訪れる時機を逸してしまった。この映画がWTC破壊される前最後のNYの姿を収めた映画くらいの時期だよね多分撮影期間。この直後から世界やNYは多大なものを失った。でもそれはそれ以前からずっと他の地域で他の人々からは失われていたし失わせていたものでもある。その場所やその人々を世界は踏みつけ無視していたからそうなったものでもある。その人たちを除外した「世界」とは何か、という話でもある。

私はずっとトランプタワーから追い出されてホームレスになったドナルド・トランプを主演にしたウディ・アレン監督作品『ドナルド・トランプのリア王』を観たいと言ってきたのですがこれ今なら様々な潮流なども鑑みてウディ・アレンじゃなくてウェス・アンダーソンの方が適任だなと思い直しました。ほぼその通りの作品ウェス・アンダーソンが撮っていたから記憶のどこかに引っ掛かっていてこの発想生まれたまである。

日本領事館が出てきたと朧げに記憶していたのですが、あれ掲げられている国旗が実在しない物に見えたので架空の「大使官邸」でしたね。着物着たご婦人が出てきたのでそこがNYなのもあって私は領事館と思い込んでいたんですね。大使が住むのはその国の首都でNYに住むわけないんだけど、この頃のウェス・アンダーソンのちょっとしたチェックミスすら愛おしかったですね。
ーcoyolyー

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