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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのKKMXのレビュー・感想・評価

3.7
語り継がれる作品なだけあり、テーマも普遍的で素晴らしいガーエーでありました。
しっかりした造りでホロリと泣かせる、ポップな感動作でした。ただ、個人的にはやや甘口で、ドップリとはハマれず。


親に愛されず里親を転々としながら育ったウィルは、有名な教授も解けない数式を解くような特別な天才でした。しかし、その天賦の才を生かすことなく、現場仕事でその日暮らし、果ては暴行などの犯罪で何度も警察の厄介になっています。
そんな天才をなんとかしようと数学の権威・ランボー教授がウィルの後見人的ポジションとなり、無理矢理セラピーを受けさせます。で、心理学者ショーンと継続面接を行なっていく…というストーリー。

ショーンとウィルの関係が中心となり、ショーンもウィルとの面接で自身の傷(妻の喪失)と向かい合い、互いに癒し合っていくプロットですが、実はウィルの友人や恋人との関係も秀逸でした。
はっきり言って、友人チャッキーや恋人スカイラーはやたらと出来た人間です。天才は置いておいても、ウィルはかなり恵まれた男だと感じました。
さらに、ショーン先生はかなり熱い人で、心理面接なのに自己開示とか抱擁とかしちゃって、完全に日常場面のノリでした。面接室みたいな非日常空間よりも、夜の駐車場とかで語り合っているほうが似合う感じ。カウンセラーっていうよりもメンターポジションでしたね。

以前、対人援助職の知人から聞いたことですが、不安定な育ちをした人も、思春期〜青年期で信頼できる他者(大人だったり友人だったり)と出会うことで人生を立て直せたりリカバリできるそうです(かなりうる覚えなのであしからず)。当たり前と言えば当たり前なんですが、その視点で考えれば、ウィルはリカバリへの対人要員を全て揃えていた(親友・恋人・メンター)と言えそうです。
ウィルは豊かな人間関係に恵まれていたけど、最後のピースが欠けていて、そこにショーン先生が入ってバチっとハマり、彼の人生が動き出した、って感じですかね〜。


ただ、あまりにもスムーズでポップな話すぎるような印象です。順調すぎるというか。

特に、ウィルと恋人スカイラーとの関係は、ウィルの変化への恐れが表現されているものの、スカイラーが女神すぎるようにも感じました。
俺も若い頃ウィルみたいな態度を好きな女子に取ってしまい(しかも何度も)、相手から「マジ無理、消え去って」と言われてきた体験があり、ウィルとスカイラーの関係に羨望を感じて受け入れ難かったのです。くそ〜ウィルめ、うらやましい!

基本的に文句のつけようのない文芸ポップ作品ですが、俺の深いところには届かなかったガーエーでございました。
正直言って、ウィルに過去の自分を重ね、いろいろと恵まれて再スタートを切れた彼に嫉妬してるだけなんですけどね…ままならないものだぜ人生って😢
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