悪魔のリトマス試験紙
アフガンの戦いから20年、ランボーはタイで平和な生活を送っていた。ある日ミャンマーへボランティア団体を送迎したランボーだが、彼らがミャンマー軍に襲われたと知り、傭兵団と共に救出に乗り出す。
「国のために殺すんじゃない、自分のために殺す」
ベトナム、アフガニスタンの次はミャンマー内線にランボーが挑みます。
現実の戦場はこれほどまでに醜くてグロテスクなものだとは…
冒頭で本物の死体映像を流しており、監督も務めたスタローンの戦争に対する強い怒りを感じます。これまでのある程度の娯楽要素が薄くなった代わりに強烈なゴア描写が終始しており、従来の感覚で観ると気が滅入るおそれあり。
ミャンマー軍の野蛮人ぶりが胸糞悪すぎてヘイトが急上昇。遊び感覚で村人を虐殺する有様に目を覆いたくなる。
それにブチぎれたランボーがミャンマー軍を殲滅するクライマックス。シリーズ最強の人体破壊が繰り広げられボロ雑巾のように兵士が破壊されていく。首が飛び内蔵がぶちまかれ、手足がちぎれ肉片や血しぶきをまき散らしてただの肉塊になるミャンマー軍。
怖いのがこの戦闘シーンで異常な爽快感を覚えてしまった事。
「ミャンマー軍は村人を虐殺する悪であり、正義はこちらにあるのでどれだけ敵を血祭りにあげても構わない」という感情を一瞬でも抱いた事への恐怖。虐殺しているという事実はどちらも同じなのではないか。
勧善懲悪な娯楽作品でそんな感情が出ても問題ないのですが、これは戦争映画であり、しかも現在進行形で未解決な問題。「本当の戦場の残酷さを見せてやる」という反戦メッセージがあるにも関わらず、スッキリしてしまう自分への嫌悪感。
頭の中を見透かされた気分。
心の中の悪魔が証明され、「お前のような奴がいるから戦争は無くならないんだ」とスタローンから叱られた気持ちになった。
