シマすけ

孤狼の血のシマすけのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.5
【なんじゃいこのチンピラどもがァーッッ!!!!!】


あらすじ :
昭和63年、広島県呉原市では尾谷組と加古村組による、ヤクザ達の抗争の火種が燃え上がろうとしていた。一触即発な状況下、マル暴のベテラン刑事である大上と新人の日岡は抗争を防ごうとするが、大上の捜査は警察とは思えない常軌を逸したものだった。


レビュー200本目は孤狼の血です。
「この世界の片隅に」のロケ地旅行を計画した際、同じく呉でかなりの場面をロケ撮影した本作もせっかくだし見ておこうと思ったのが鑑賞のキッカケでした。
評判の高いヤクザ映画という情報しか持っていなかったのですが…


何これめっちゃ面白いしエグいし、何より熱量がスゴいやん。


地上波での放送を一切考えていない、何もかも振り切っている暴力と下ネタの乱れ打ちにガツンときた。

「仁義なき戦い」時代の東映ロゴから始まり、開始40秒で🐷の💩をアレするぶっ飛ばしぶりに、白石監督からの「これから始まるのはこんな映画だぞ?ついて来れるか?」という警告とも挑発とも取れるメッセージを、確かに受け取りました。

ヤクザも警察も全員あぶら汗まみれでムンムンするし、みんな殺る気マシマシで広島弁で怒号をぶちまけて楽しそうに大暴れするわで、頭の血管が切れそうになるエネルギーに圧倒されっぱなしでしたが、なんといってもガミさんを演じる役所広司の存在感が凄かった。

正義ってなんだっけ?となるやりたい放題な捜査、恫喝、果ては拷問までやってもうメチャクチャ。ヤクザよりもおっかないオッサンなのに、チラホラと見える警察官としての良心や情の熱さに心を奪われました。
観客の代弁者とも呼べる日岡を演じる松坂桃李が、ガミさんへの感情が変化していく過程を演技力で魅せていて、コレも心惹かれました。感情の爆発のさせ方が本当に凄かったです。


確かにR-15なだけあり、暴力描写が血生臭くてエゲつないばかりか、露骨な性描写もあるので万人に勧められる映画ではありませんが、そんな過激な演出ばかりに頼らず熱い人間ドラマや主人公に感情移入させる演出、盛り上がりまくるクライマックスが功を奏し、見終わった後の満足感はかなりのものでした。
原作を読んでいる人達にもオススメできる、劇薬です。



※その他色々※

・シン・ウルトラマンで、例の居酒屋の大将を白石監督が演じていたと知ってビックリ。

・役所広司に並ぶインパクトだったのが、覚醒剤を打って単身で加古村を襲撃した中村倫也。目つきがアカン。

・真珠の場面でドン引きしなかった男性いる?

・呉の名物といえば海軍カレーのイメージが強いですが、訪れた際ぜひ食べてほしいのがフライケーキと呉冷麺。
フライケーキはあんドーナツを揚げたようなお菓子ですが、菜種油を用いているためあっさりとしており、甘さ控えめなあんことの相性が抜群で、サクサクといくらでも食べれる美味しさ。
呉冷麺はスープの味は韓国冷麺に近いですが、コシのある太麺にワンタンやチャーシューを投入しており、食べ応えがあります。

・呉市内では市バスがバンバン走っているのでそれを使うのも手ですが、「この世界の片隅に」「孤狼の血」両作品の主要ロケ地を巡るにはレンタサイクルがオススメ。小回りが効くのでかなり移動しやすい一方、呉は坂道がかなり多い町なので体力の消費もヤバいです。
呉は地元住民の方々が穏やかに生活している町なので、マナーを守って思い出に残る観光を。
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