円柱野郎

ゴジラの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ(1984年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ゴジラシリーズの第16作。

1作目(1954年)の30周年作品という位置づけで制作された9年ぶりの新作。
作品内では2作目から15作目のゴジラはなかったことにして、30年ぶり2度目の出現という事になってます。
その設定自体は、昭和ゴジラであまりにヒーロー化してしまったゴジラというキャラクターをリセットするためだし、1作目の様な社会的なテーマを内包させたいという気概の表れでもあるので否定しない。
米ソの狭間にある日本という冷戦時代をよく表しているとも思うし。

ただゴジラの帰巣本能を利用して…の流れは動物的な側面を強く印象付ける結果となってしまい、結果的には初代ゴジラが持っていた核兵器や戦争のメタファーというキャラクター自身の恐ろしさを薄らげる形になってしまったかも。
もちろん作品内には核についてのテーマは入っているんだけど、基本的には前述のとおり冷戦下の核抑止論・非核三原則・スターウォーズ計画という時代の空気を取り入れているだけであって、厳しいことを言うとゴジラはただのデカい生物に過ぎないように思う。
「日本沈没」の様な社会派SFの流れとしては正しい流れかもしれないけど、「ゴジラ」の原点回帰と考えるとちょっと物足りないかな。

本作の特撮は冒頭の巨大フナムシ(ショッキラス)が「大丈夫か?これ」という出来栄えなので、いきなり心配になるのだけど…(苦笑)
比べたらダメだとは思いつつも、これ「エイリアン」のフェイスハガーから5年も後の映画なんだぜ…。
一方、ゴジラが出てくる場面の方は、時代を考えると力が入っていて巨大感も悪くない。
新宿での決戦や三原山の火口落下シーンは良いね。
新幹線のシーンは54年版のオマージュだよな。

ただ上半身を再現した巨大ロボット(サイボットゴジラ)や実物大のゴジラの足などはどうかと思う。
「作ったからには使わないと」みたいなことがあったのかは知らないけど、それらが出てくるたびにちょくちょくクオリティが下がる。
特撮の技量とはミニチュアをいかに巨大に見せるかだろうに、巨大なものを作ったがために作り物に見えるとは本末転倒。
その辺はちょっと力の入れ具合がズレていたのかなあ?

一応は社会派なストーリーのはずなのに、ちょくちょくコミカルな場面が入ってくるのも浮いている気はするけど、まあこの時代の邦画の雰囲気なのかもと思いながら観てました。
武田鉄矢のホームレスは…もう完全に悪ノリだと思うんだけど、面白いからいいやw
沢口靖子は…この作品で出演映画2本目のころか。
正直ストーリー上もいてもいなくてもって立ち位置な気がするけど、東宝的な事情(第1回「東宝シンデレラ」)のためのヒロイン役なんだろうなあ。
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