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ケスのHKのレビュー・感想・評価

ケス(1969年製作の映画)
4.0
「私はダニエルブレイク」などイギリスの社会的な作品を多く輩出しているケン・ローチ監督の初期監督作品。

イギリスの片田舎のヨークシャーを舞台に、一人の貧しい少年が野生の鷹との意思疎通を通して成長していく様子を瑞々しく描きながら、最後に悲劇的な結末がまっている物悲しい映画となっている。

昔から、田舎は人間関係もひどく狭く、尚且つ閉鎖的で陰湿だということがよくありますが、その様子を見事なまでに描いていますね。

そして公立学校のカオスな光景と陰湿っぷりは、「小さな恋のメロディ」以上により色濃く描かれていました。先生ですら子供らしい人たちばかり。自分の幼少期を思い出してトラウマになります。

イギリスって公共制度が日本と同じく充実している分、このように病院とか学校の光景や陰湿な雰囲気ですら似ていますからね。やはり日本と同じ島国だしどこか似ている所があるのでしょうかね。

主人公は、初めこそ図書館も利用できず盗みすら働くほどの貧困層であるが、鷹との交流で少しずつ社会性お身につけて行きます。一部の先生からは認められていきますが、他の同級生や先生、家族からは貧乏という理由だけで追い立てられてしまいます。

そして、最後はお兄ちゃんのせいで鷹が…唯一の生きがいが奪われてしまいますね。あの子は多分また荒れてもとの悪い性格に戻ってしまうかもしれません。なんかそれ相応に才能がありそうなのに、周りの社会がそんな彼の特殊な部分を潰してしまったような気がしますね。

ケンローチさんらしい、労働者階級に焦点を当てた題材でもあります。やはり炭鉱労働者ってああいう素行が悪いというイメージがついてしまっているんでしょうね。

他にもイギリスの学校生活のリアルっぷりが細かいところまですごく良かったです。神は細部に宿るといいますが、まさにこういうところができてこそ、立派な映画になるのでしょうね。過去に遭った出来事をプレゼンするような授業なんて、もろ大学の文系の授業でよくある光景ですからね。そこでアピールするような光景も見れてとても良かったと思います。

しかし、やはり最後は物悲しい。糞兄貴は最後まで糞兄貴でした。もうキャスパー君は市役所行った方がいいよ。
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