タカシ

ヒストリー・オブ・バイオレンスのタカシのレビュー・感想・評価

4.0
『ヴィゴ・モーテンセンとエド・ハリスがなんとなく似てると思った人、手をあげて』


映画が始まる。
二人の男の長回し。
ショッキングな幕切れと共に物語は幕を開ける。
二人に物語がどんな役回りを用意するのかと思ったら…

この作品はそういう風に観客の想定を常に裏切り続ける。
暴力についての映画ではあるものの、そもそもアクション映画ではないのだ。

ゆっくりとしたペースで物語は進みながら、突然暴力シーンが訪れる。そこには必ず過剰なまでに残酷な描写が添えられる。セックスシーンですらまるで暴力シーンのようだ。
そこにはアクション映画的痛快感は皆無。
暴力の恐怖をまざまざと見せつけられる。

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」と聞けば、おそらくほとんどの日本人は「暴力の歴史」と脳内で直訳するだろう。
親の暴力が子に波及するように、常に暴力と共にある歴史の姿。
この作品でも、常に暴力でしか事態が収束していかない困難さ。そういうことかなあと思ったら、これ単純に「暴力の(犯罪)歴」みたいな意味なんだね。
うんまあそれでも意味は通じるけどさ。
何だかなあ。

一時間半位の作品なのでクライマックスがやや唐突かなと思いますが、そこからのエピローグはとても好みでした。
多分ここら辺りで評価が別れそう。
これはアクション映画ではないので、ある意味アクション映画のカタルシスは皆無なのですよ。
なんとも不思議な映画でした。
Amazonビデオ(字幕版)にて。19.01.28
2019#007
タカシ

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