【タイム・パラドックス佳作選】

◆パラドックス発生の方法
〈タイム・トラベル〉
　→自ら設計したタイムマシンに搭乗、
　「過去」と「未来」を訪れる。

〈見処〉
①タイムトラベルの金字塔を映画化
・『タイムマシン』は、2002年に製作されたアメリカ映画。「SFの父」H.G.ウェルズが1895年に刊行した小説『タイム・マシン』を原作とし、1959年にアメリカで製作されたSF映画『タイム・マシン 80万年後の世界へ』のリメイク作品。物語には大幅な脚色がされている。
・舞台は1899年のニューヨーク。大学教授のアレクサンダー(ガイ・ピアース)は、事故死した最愛の恋人・エマを取り戻すため、4年の歳月を費やしてタイムマシンを完成させるが、何度時間を遡っても、彼女は別の事故に巻き込まれ、死を防ぐことが出来ない。なぜ過去を変えることが出来ないのか？アレクサンダーは未来にその答えを求め、未来に向かうが、不時着した80万年後の未来には、人類が異種族に進化した世界があった…。

②「一粒で二度美味しい？」作品構成
・本作は、上映時間96分のうち、40分を経過以降は、約80万年先の未来～温厚で牧歌的な生活を送る民族「エロイ」と、野蛮で獰猛な民族「モーロック」が対立している世界が描かれており、前半部: SFもの、後半部:冒険もの、と『フロム・ダスク・ティル・ドーン』並みに作風が途中で大きく変化する。
・批評家からは、特に後半部の評価が凄まじく悪いが、原作には登場しない、未来人
ウーバー・モーロック ( ジェレミー・アイアンズ)を通じて、歴史改変の諾否や、印象的なセリフ「タイムマシーンは誰もが持っている。過去へは記憶が、未来へは夢が連れて行ってくれる」を発せさせるなど、それなりに意味がある作品構成となっている。
・なお、本作の出来に対し、監督を務めた、(原作者H.G.ウェルズの曾孫である)サイモン・ウェルズは、多数の非難を浴びることになったが、実際には、彼は撮影中に体調不調を理由にリタイア。『パイレーツ・オブ・カリビアン』のゴア・ヴァービンスキーの力量により、公開までこじつけた作品である。

③結び…本作の見処は？
前半40分は「名作」、後半は「迷作」。
○: 公開時には「酷い映画」と思っていたが、再鑑賞してみると、原作にはない恋人の死や未来人ウーバーの存在など、SF映画として成立させようとした努力の跡が感じられる。
○: 未来に移動する特殊効果描写が素晴らしく、タイムパラドックスものの中では、上位に入る。長い歳月をかけ、グランド・キャニオンやデリケートアーチのような景観が出来るシーンは見ごたえあり。
○: 何度トライしても、同じ結末というタイムパラドックス映画はあまりない。
×: 原作に沿った内容にて、致し方ない面もあるが、終盤は『猿の惑星』２作目以降のようなB級臭が激しい。

• #タイム・パラドックス佳作選

最愛の恋人を失った科学者がタイムマシンで時間を超えて旅するSFドラマ。
原作はH.G.ウェルズの小説「タイム・マシン」で、原作者のひ孫であるサイモン・ウェルズが監督を務める。　
ガイ・ピアースが主演、サマンサ・マンバがヒロインを務め、オメーロ・マンバ、シエンナ・ギロリー、オーランド・ジョーンズらが共演。
作中で姉弟を演じたサマンサ・マンバとオメーロ・マンバは実の姉弟でもある。　　

1899年のニューヨーク。大学で応用機械学の教授を務める若き科学者アレクサンダー・ハーデゲン（ガイ・ピアース）は恋人エマ（シエンナ・ギロリー）に誕生石のムーンストーンをプレゼントしてプロポーズするが、その直後、強盗に襲われて彼女は射殺されてしまう。アレクサンダーは、エマとの再会を夢みて4年を費やしてタイムマシンを完成させ、エマが殺される直前にタイムトラベルする。しかし彼女は強盗による悲劇は回避できたものの、今度は馬車に轢かれて死んでしまう。アレクサンダーは、過去を変えることはできないと悟り、その答えを見つけるためにタイムマシンで未来に旅立つ。2030年5月に辿り着いた彼は、ニューヨーク市立図書館で、原子力フォトニクスに映し出されたボックス（オーランド・ジョーンズ）に訪ねてみるが答えは見つからない。タイムマシンで更なる未来の2037年に訪れてみると、丁度月が崩壊して、ニューヨークの街は大混乱に陥っていた。難を逃れてさらに未来にタイムトリップする。気を失ったアレクサンダーが目を覚ますと、時は80万2701年７月で、いきなりカメレオンが目に飛び込んできた。そこは原始的な生活を営むエロイ族の集落だった…

「誰もがタイムマシンを持っている　過去へ連れ戻すのは記憶　未来へ連れていくのが夢だ」
恋人を失った科学者が恋人との再会を夢見てタイムマシンで過去に戻るが、運命を変えることはできなかった。その答えを探すために未来に旅立つ。
雪が積もった白銀のニューヨークで赤いドレスを着たシエンナ・ギロリーが素敵です。彼女へプロポーズした時にプレゼントしたムーンストーンや懐中時計などのアイテムがストーリーの伏線となっているのが秀逸です。
未来では恋人との思い出の雪のニューヨークとは真逆の夏が舞台で、ヒロインも褐色の美女を演じるサマンサ・マンバが印象的。
CGで描かれた様々な世界を楽しめるとともに、人にとって大切なものを問いかけてくる。
最後に主人公が手に入れた幸せとは…
「良かった　旅立ってくれて　彼は幸せになれる場所を見つけたのさ　我が家をね」

2024.6　テレ東で鑑賞（午後ロード・吹替：藤澤睦実 訳）

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タイムトラベル　×　運命

思い出し記録。
恋人を死から救うために何度も過去に戻るがどうしても運命を変えられない。
主人公は未来に飛び、過去にこだわるのではなく、これからの人生をどう生きるかを考えなければいけないことに気付く。
H・G・ウェールズのタイムマシンをベースにした映画。

トリビア：監督はウェールズの本当のひ孫だそうです。

タイムトラベルカテゴリー：3（過去、未来両方）


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