ろ

運動靴と赤い金魚のろのレビュー・感想・評価

運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)
4.6
「3等になって、お前に靴をやるよ!」

初イラン映画!
明日「人生タクシー」を観る予定なので、その予習に今作をチョイス。

主人公アリと、その妹ザーラの健気なこと!
よく泣いて、それでも一生懸命に走ります。
「大人は判ってくれない」と対極をいく物語だなと思いました。子どもらしさが満載で、ほっこりするシーンも多いです。

貧しい家で暮らすアリとザーラ。
ある日、修理が終わったザーラの靴をアリが取りに行く。
しかしいつの間にかなくなってしまう。
途方に暮れるアリ。
ふてくされるザーラ。
両親に言っても、新しい靴なんて買ってもらえない。
そこで二人が考え出したのは…。

「こうしよう、僕の靴を履け。お前が学校から帰ってきたら僕と交代だ」
「そんなのやだ」
「頼むから」

新品の鉛筆を差し出す兄。
その気持ちを汲んで、翌日涙を流しながら兄の靴を履いて学校に向かう。

でもやっぱり、女の子らしい可愛い靴が履きたい!
ザーラはたまらず愚痴をこぼします。
「こんな汚い靴履いていくの、恥ずかしい」

ということで、兄妹仲良く靴を洗う。
石鹸の泡だらけの手でシャボンを飛ばす。
大きいシャボン玉がたくさん宙を舞います。

そんな2人は靴に敏感になる。
朝礼では周りの子どもたちの靴を眺める。
ショーウィンドウに並んだピカピカの靴にときめく。
そして、「給料が入ったら何か買ってやろう」と父が言う、その後ろで流れるカッコイイ靴のCMに目を奪われる…。

そんなある日、小学生マラソン大会のお知らせ。
”3等 海のキャンプ1週間と・・・運動靴”
とにかく靴が欲しいアリはマラソン大会出場を先生に頼み込みます。
そして本番当日。
ザーラの想いを胸に、アリは力の限り、走るはしる。
果たしてその結果は…。

マラソン大会を終えたアリの運動靴は、
底が剝がれてベコベコに。
足は靴擦れで、赤い血が滲む。
そんなアリに寄り添うのは、赤い金魚。
足の傷を癒すように、そっと…。
ろ