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運動靴と赤い金魚のericaのレビュー・感想・評価

運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)
4.4
え?!なに…?!この映画、、
尊すぎて死ぬ、、😭笑

人生初のイラン映画は、貧しい家で暮らす兄妹の心温まるお話だった。👫

お兄ちゃんのアリは妹の靴を修理に出すが、不運なことに帰り道でその靴を失くしてしまう。。
妹に打ち明け、翌日からアリの靴を共用することに。
2人の学校の時間が異なることを利用して、まず妹がアリの靴を履いて登校、急いで帰ってきてアリに靴を渡し、今度はアリが急いで学校に向かう。毎日これの繰り返し。

一足の、しかもボロボロの靴を共用することがどれだけ大変か。

妹は、大きくて履き慣れない靴で、自分の帰りを待つ兄の元まで走らなければならないため、途中で靴が脱げてしまったり、水路に流されてしまったりとなかなか大変な思いをする。。
兄は、妹から靴を受け取り急いで学校に向かうも間に合わずに何度も遅刻してしまい、事情を知らない先生から厳しく怒られてしまう。。

それでも両親には、靴を失くした、新しい靴を買って欲しい、なんて言えない。。
子供たちは理解していたから。今の家庭の状況で、新しい靴を買う余裕なんてないことを。。

どうしようもない、誰のせいでもない
辛くて悲しくて、何度もボロボロ泣いてしまう子供たち
特にお兄ちゃんアリの大きくてまん丸の目からボロボロこぼれ落ちる涙が、悲しそうな泣き顔が、すごく印象的で。気付いたら自分も。。(;o;)

それからアリは、地域のマラソン大会の3位の賞品が運動靴であることを知り、妹のために出場を決意する。

"僕が3位になって、靴をあげるからね。"

登下校で走りまくってたアリの脚力は、確かに入賞を狙えるほどの実力だった。
果たしてアリは無事に3位をとって妹に運動靴をプレゼントできるのか…?

これはあれだ。インド映画の『レインボー』によく似ている。
『レインボー』では、姉が弟のために奮闘するお話だったけど、本作では兄が妹のために奮闘する。
どちらも貧しいが故の物語で、少し切ないけれどもほっこりと心温まる良作だった。

幼い子供たちが純粋な願いのもと、誰かのために奮闘する姿は、ほんとうに、尊い。

そして特筆すべきは、あのラスト…!

まるでアリを労うかのように、ボロボロの足に群がる赤い金魚。
からの、、もうほんと、良いところで終わらせてくれたわ。。笑
お父さん、ありがとう。覚えててくれたんだね。
わかってるよ、どうしたってハッピーエンドだもん。
敢えてその瞬間を見せずに、観る側に結末を想像させる。
なんてにくいんでしょう…!!
素晴らしいラストでした😭
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