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ウルヴァリン:X-MEN ZEROのトルーパーcomのレビュー・感想・評価

ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009年製作の映画)
3.0
映画X-MENシリーズのスピンオフ。
ウルヴァリンの誕生を描いた作品です。

X-MENの初期三部作では「ウルヴァリンって回復性能が便利なだけであんまり強くないような」っていう印象だったんですが、本作では彼の大活躍がたくさん見られて満足。
ヒュージャックマンかっこいい!

<以下、微ネタバレ感想>
■よかった点
【1】アクションシーンがカッコいい!
ウルヴァリンといえばやられてもすぐに傷が治るヒーリング能力が優秀。
その性能を見せるためなんでしょうが、過去作ではけっこうあっさり相手に吹っ飛ばされたり刺されてダウンしたりといったシーンが多く「うーん。。弱いんじゃ。。」っていう印象がどうしてもありました。

でも今作は圧倒的に強くてカッコいい彼が見られます。CG技術の進化もあってか、アダマンチウムの爪で壁や金網を豆腐を切るように切り裂く演出にも興奮。
ヘリで襲撃する相手と対決する一連のシーンでは思わずガッツポーズが出てしまいます。

あと、個人的にはセイバートゥースの、獣のように四つ足で跳ね回るアクションとケストレルのテレポート描写が素晴らしかったという感想。
X-MEN1から8年経って、ミュータントの特殊能力描写もかなり進化したなあという感じです。


【2】ファーストものの王道な脚本
ヒーロー映画のファーストもの大好きです。
アイアンマン1/ライミスパイダーマン1/キャプテンアメリカ・ファーストアベンジャー/ワンダーウーマンetc
ヒーローがいかにしてヒーローになったのかを2時間かけて見せていく過程がたまらない。

・おなじみの外見の前段階の姿→中盤でついにヒーロー誕生!のビジュアル的演出
・自身の力を把握できていない序盤→自身が何者なのか葛藤→力と使命を自覚してヒーローに!という演出
・ヒーローとなる彼を支える周囲の人物
・自身と似たような能力を持つヴィランとの最終対決

本作はそういったファーストものの王道的な要素がすべてもれなく網羅されてます。
手から骨が出てくる序盤のスタイルも味があるし、アダマンチウム化された爪が登場したときの興奮はたまらないです。
人体実験からスーパー能力に目覚めて脱走っていう仮面ライダー的ストーリーもいいですね。

ただ、ラスボスはウェポンXIではなくセイバートゥースに務めさせるべき。ここだけが残念ですが、それ以外は大満足のベタな脚本です。


■ダメだった点
【3】ウェポンXI:デッドプール
デッドプール2でライアンレイノルズ自身にネタにされましたが、この映画にはいらない存在だったなという印象。
アイアンマンvsアイアンモンガー/ハルクvsアボミネーション/ブラックパンサーvsキルモンガーetc
ヒーローのファーストものでは、最終決戦で同じような能力を持つ敵と対決するのが定番です。

これは「彼は特殊能力を授かったからヒーローなんじゃないよ」ということを描くため。
「クモに噛まれたら/ガンマ線を浴びたら誰だってヒーローになれる」じゃあダメ。

同じ能力を持っているヴィランとの対決を通して、彼は能力故にヒーローなのではない。英雄的な心と行動故にヒーローなのだということを示せるわけです。

そういう意味でいうと、ウルヴァリンのラスボスはセーバートゥースであるべきでした。

ウェポンXIは手から出る金属とヒーリング能力だけじゃなく多数のミュータントのいいトコどりした個性のないキャラで、インフレしすぎて歯止めがきかずに失敗してしまうシリーズ三作目のラスボスみたいな設定。

そもそも原作のデッドプールとあまりにもかけ離れているしね。申し訳程度に目が黒の菱形◆◆になる演出も逆に萎える。
ラストのおまけ映像も不要。

ただフォローを入れるなら、前半のチームXで日本刀を振り回すライアンはめちゃかっこよかったですね。
この「カッコいい旧デッドプール」も、デッドプール2でネタにされてましたね。

【4】冒頭の過去シーンが雑
ウルヴァリン(とセーバートゥース)は老化しないため100年以上今の外見で生きているという設定で、南北戦争や世界大戦×2にも参戦していた様子が描かれていますが、これが短すぎる。
あまり長く尺を割くと、メインがどこなのか散漫になってしまうからなんでしょうが、もう少しだけ時間とって欲しかった。

セーバートゥースとの関係の深さを描くという物語的な意味でもそうだし、
何より、南北戦争の時代の世界観に溶け込んでいる彼が、100年後にそのまま存在するというギャップを映像でしっかり見せて欲しかったという点です。

たとえば、彼のトレードマークである葉巻に火をつける方法が、
・火縄銃型やオイル式などの大昔のライター
・旧式のジッポー的なオイルライター
・近代のジェット式のガスライター
に変化していくカットを同じ角度で入れてからその時代の話を描く、とか。

冒頭シーンが彼は不老の人なんですよっていう設定を単に説明する意味しか持っておらず、あのシーンが大昔の戦争でなくてもストーリーや世界観が成立してしまうので映画として無意味になってしまっている。

■スコア
減点方式だと点数低くなりそうな映画ですが、ウルヴァリンの魅力がきちんと描かれているっていう点だけでいうと初期三部作のどれよりもイイですね。
スコアは★3.0で。
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