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エル・ゾンビ III 死霊船大虐殺のhorahukiのレビュー・感想・評価

3.7
エンタメプライス!!

11月はゾンビ⑬

霧の中に浮かぶ幽霊船に乗り込んだ御一行が、案の定帰れなくなって黒衣のゾンビ軍団に消されていくシリーズ3作目。昔は3000円どころかプレミアで5000円くらいしてたように思うけど、今見たら2400円くらいのちゃんとしたエンタメプライスになってた🤣

根本的な設定を引き継いだだけで、相変わらず1とも2とも一切関係のないストーリー展開の自由度よ。これで同じ監督がやってるんだから笑う!古城や森の中をスローモーションで馬に乗って駆ける盲目の黒衣ゾンビの幻想的な美しさが本シリーズの魅力だったのに、ついに馬もなくなりスローもなくなり、何故か海洋ホラーに大変身!

女優とモデルをボートに乗って漂流させ、他船に偶然救助されるのを待つ→「こんなに長時間漂流しても大丈夫!うちのボート頑丈だろ!」な広告作戦を仕掛けるアホさ加減も相当だけど、幽霊船にコツン…と接触しただけで船体に穴が開き浸水してしまうボートの耐久性の無さには、藁にも縋りたくなる広告担当さんの気持ちもわからんでもないなぁ…って思った😂ちなみに何百年も前に作られ海の中を漂流し続けたであろう幽霊船の方は無傷。幽霊船頑丈だわ!

そんなこんなで幽霊船に乗り込まざるを得なくなった広告塔の2人を救出するために、金の亡者たちが幽霊船を捜索→乗船→みんなゾンビに襲われるというパターン。幽霊船は濃い霧に覆われ常に夜のような暗さなのだけど、外側からは霧の発生すらも観測できないという、ここだけ次元がズレてしまったかのような異界感がツボ。無線でのみ外側と交信ができるのも古典怪奇小説チックで好み。捜索のために乗ってきたボートがみんなの見てる前で消滅しボートだけ元の次元に戻ってしまうというのも、次元そのものに吸い寄せられ、そのまま閉じ込められた感覚を煽ってきてゾクゾクした。

船室にある棺という『吸血鬼ノスフェラトゥ』な雰囲気そのままに棺の中から吸血鬼のように蘇り、ゆっくりと襲いかかってくる黒衣ゾンビたちの異様な光景は相変わらず素晴らしい。そして引き込まれた異次元から異次元が空間ごと漏れ出てくるようなクライマックスは最高だった!お話は別物だけど、これもかなり良かった。
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