流石のイーストウッド。
とても重厚な人間ドラマでした。
何より、こんなに複雑で数奇な運命を辿った人物が実際にいたとは。神さまとは残酷ですね。
1928年、ロサンゼルスで電話会社に勤めるシングルマザーのクリスティンは会社からの急な呼び出しで息子のウォルターを1人家に残し職場へ向かった。仕事を終え自宅に戻るとウォルターがいない。
24時間経ってもウォルターが戻らないことから警察は捜査を開始。
行方が分からなくなってから5ヶ月後、ウォルターがイリノイ州で保護されたと連絡がありクリスティンはウォルターを迎えに駅へと向かうが、列車から降りて来た少年は明らかにウォルターとは別人だった。
この「取り替え子」というのがタイトルなわけですが、実はこのストーリーは物語のプロローグ。
LAPDのイメージ戦略にタイミング良く巻き込まれてしまい非情な運命を辿るクリスティン。母であると同時に女性である彼女は同じく権力に抑圧された女性を救うべく動き出す。
1928年という時代はフェミニズムがまだそれほど盛んでない時期です。正にフェミニズム運動の先駆けとなった人物と言えます。
実話とは思えないほど言葉は悪いかも知れませんがドラマチックな展開。ストーリー展開が面白いので尺の長い作品ですが最後まで楽しむことができました。
それに主人公がどんな状況でも希望を持って生きていますから。辛い物語も悲観的にはならなかったです。
ということで、イーストウッドらしく、不思議な爽やかさの残る作品。
最後まで、希望は失くさない。