ポツダム宣言受諾をめぐる首脳部の苦悩。そして終戦を阻止するためのクーデターを起こす将校たちとの攻防。
前半は会議。
後半はクーデターをめぐるアクション。
「太平洋戦争に兵士として参加した日本人1000万人(日本人男子の四分の一)。戦死者200万人 一般国民の死者100万人。
計300万人。家を焼かれ財産を失った者 1500万人」
この字幕が表示された後に流れるナレーションがすべてを物語っているといっても過言ではありません。。
劇中においての見込みの甘さ、言動の根拠のなさ、自己認識の甘さ、後年の立場で観ていると日本の「失敗の本質」が垣間見えますが、、
個人的な「日本と戦争についての意見」は割愛。。
映画として「大きなものが動く大局の中での集団の判断の行方 描き方。各人のリアクション」を知りたい一環で鑑賞しました。と同時に岡本喜八演出を改めて鑑賞。
戦争話、しかも敗戦なので、陰惨でどろっとしたネガティブにならざるを得ない題材ですので、ふつうであれば情感たっぷりに
ゆったーり、ねっとーり描きがちですが、
ここではきびっ!ざくっ!ポン!ポン!ポン!と笑
ひたすらリズミカルです笑
全体的にカッティングの鋭さがあり、あえて情緒的なところへ同調させないつくり方。淡泊でドライな感じになりそうですが、これがかえって迫力と緊張感が途切れない異様な圧力を生み出しています。
動きのワンアクションひとつひとつもリズムになっていて、歩く歩数や字幕が出るタイミングさえ意味があり、全く動きがない会議シーンでさえも感じるのは躍動感。
最大限の情感を描くために各人物の内面的描写に一切頼らない。
感情ではなくリズム感でカットを繋ぎ、画面構成そのもので語り紡ぐことで「机上の理論」と「真に語るべく用意されたグロテスクさ」との、コントラストも鮮明に感じました。
映画の内容としては
「戦争を終わらせたい人」もいて、
「戦争を終わらせたくない人」もいました。
敗戦という事実の只中にいた人々の想いのディテールを解像度高めで感じることができます。
日本はなぜ戦争をしたのか。
なぜ負けたのか。どうやって終わったか。
公平性を保った文献を確認することが大事な一方で
その当事者の想いはどうなのか?
戦争で生じた様々な感情を掘り下げて描くことは映画ができる「役割の一つ」かもしれませんね。
このあたり今一度認識しておいていいのかもしれません。