yoshi

80日間世界一周のyoshiのレビュー・感想・評価

80日間世界一周(1956年製作の映画)
3.8
ハッピーエンドのコメディーが見たくなった。DVDを整理した中から再見。

イギリス人資産家フォッグが、執事のパスパルトゥーを従え、後期ビクトリア朝時代の世界を80日で一周しようと試みる、波瀾万丈の冒険物語である。
ジュール・ヴェルヌの古典的冒険小説の映画化である。(ウィキペディアより)

現在の映画制作の技術と比べると多少古臭く感じるが、なんと1956年の映画である。戦後間もない70年以上前の映画❗️
当時を考えると、映画を撮影しながら世界を1周すると言うのは、大変なスケールではないだろうか❓

セットでの撮影もあるが、ほとんどはロケーション撮影で行われているのが分かる。

ロンドンからパリ、スペインまでの気球の旅。眼下にその街並みがバッチリと写っている。
スペインの闘牛場、タイの寺院、鎌倉の大仏、アメリカの原野のバッファローの群れ
、どう見ても本物だ。

楽しいアドベンチャー映画であるが、見れば見るほどそのスケールの大きさには目を奪われる。
(今まで3回見たのですが…)

配役も良い。
フォッグ役のデビット・ニーブンは言葉のアクセントは当然だが、背筋が伸びた立ち振る舞いも、仕立ての良い衣装も、テーブルマナーやレディーファーストに至るまで、これぞ英国紳士というハマり役。
時間に厳しく偏屈なところもお似合いだ。
彼自身が全て計算ずくで演技をしているように思えるからだ。
(フォッグが名家の出身でなく、なぜお金持ちなのかはわからずじまいだが、謎めいたところが、いろいろと想像が膨らむ)

執事役のカンティンフラスはコメディアン出身と言うだけあって、ドタバタした動きがチャップリンを彷仏とさせる。
彼が登場するだけで何かヤラカシそうな雰囲気が漂い、コメディーを盛り上げる。
気球を操縦し、スペイン語も話すことができ、曲芸もできてしまう、スキルの高さが凄い。
(カンティンフラスの映画が少ないのが、もったいない。)

これは立派なバディームービー❗️
もしかしてロードムービーの元祖はないだろうか❓

「いいや、ロードムービーの元祖はこれだ❗️」
と言う人がいたらコメントで教えてください。ぜひ見たいと思います。

DVDの特典には、この映画を製作したプロデューサー、マイケル・トッドが豪放磊落な人物で、才能があり、人に好かれ、いかに莫大な製作費を工面したかな収録されている。(なんとエリザベス・テーラーの夫であり、結婚のいきさつをリズ本人が語っている)
この人自身が作品以上に波瀾万丈な人生を送っています。
こちらも一見の価値があります。

また、この映画には様々な世界の土地だけでなく、彼の人柄を慕って、様々なスターが登場する。
「ちょっとした役でも輝きを放つ」カメオ出演と言う言葉を生み出した最初の映画だそうだ。

交通技術の発達で世界は狭くなったと言われている。しかしこれだけのスケールの映画には、21世紀になってもまだお目にかかっていない。

誰か現代版の80日間世界一周を作ってくれないものだろうか?

現代なら何日で世界を1周できるのだろう?様々なトラブルや出会いを考えると結構現代でも通用するアイディアだと思うのだが…

この作品は貴重な映画遺産だと思います。
作品、メイキングともに一見の価値はありますよ。
yoshi

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