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呪怨 パンデミック

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呪怨 パンデミック

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『呪怨 パンデミック』に投稿された感想・評価

本作は、前作で佐伯家の呪いに触れたカレンの妹・オーブリーが、姉の身に起きた異変を知り、東京へ向かうところから幕を開けます。彼女はそこで伽椰子と俊雄にまつわる呪いの存在を知り、抗いがたい恐怖に巻き込まれていきます。これと並行して、東京のインターナショナル・スクールに通う少女たちや、シカゴの集合住宅で暮らす家族の物語も展開。佐伯家に端を発した呪いが、複数の人物や遠く離れた場所へと連鎖していく様子が描かれます。

前作『THE JUON/呪怨』が、日本版の恐怖をハリウッド資本のもとで再構成した作品だとするなら、本作はその続編として「呪いの範囲」をさらに押し広げた意欲作です。タイトルに「パンデミック」と冠されている通り、本作の呪いはひとつの家に留まりません。東京の別地域へ、さらには海を越えた異国へと感染を広げていきます。単なる前作の反復を避け、新しい方向へと舵を切ろうとする明確な意図が窺えます。

しかし、そのスケールの拡張が必ずしも「恐怖の増幅」に直結しているとは言い切れません。確かに伽椰子と俊雄の存在感は健在で、あの白い顔や軋むような声、日常へ不意に入り込む気配にはシリーズ特有の不気味さがあります。見慣れた生活空間が徐々に呪いに侵食されていく描写にも、Jホラーならではの湿度が保たれています。

その一方で、見せ場を増やしてスケールを広げた分、かつて佐伯家に満ちていた「濃密な怖さ」は薄まってしまいました。伽椰子の出現頻度が高く、恐怖よりも「また現れた」という感覚が先行しがちです。ホラーとしてのサービス精神が旺盛な反面、見せすぎることで怪異の“得体の知れなさ”が弱まっている印象は拭えません。

総じて本作は、呪いの世界を広げようとする野心を感じさせつつも、その手法ゆえに『呪怨』本来の閉塞感や理不尽な怖さを損なってしまった作品と言えます。伽椰子と俊雄のアイコンとしての力は十分にありますが、呪いが広範囲に及ぶほど、恐怖の純度もまた拡散し、希釈されてしまったように感じます。



※以下、ネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。

































シリーズ全体の流れにおいて、本作の最も大きな変化は「呪いに対する登場人物の立ち位置」にあります。従来の『呪怨』では、人々は呪いの仕組みに対して徹底して無力でした。佐伯家に関わったというだけで、理由も分からないまま次々と呪いに呑み込まれていく。そこにあるのは謎解きのカタルシスではなく、因果の外側から突然引きずり込まれる理不尽な恐怖でした。

しかし本作では、主人公のオーブリーや記者のイーソンが呪いを能動的に調査し、その起源へと迫っていきます。伽椰子の母の存在が明かされ、娘に何を施したのか、呪いの根底に何があったのかが語られていくのです。この展開は、明らかに「呪いを解く物語」のベクトルを向いています。登場人物が調べ、考え、移動し、真相へ近づく。かつて受動的に呪われるだけだった『呪怨』は、ここに来て「調査型ホラー」へと変質を遂げています。

このアプローチ自体が悪いわけではありません。むしろ、前作の単なるリピートを避けるための工夫として十分に理解できます。すでに佐伯家の呪いを描き切った以上、続編は家の外へ、東京の外へ、そして日本の外へと舞台を移す必要があったのでしょう。呪いが感染症のように広がるという発想は、ハリウッド版の続編としてはごく自然な拡張です。

問題なのは、この拡張が『呪怨』という作品の“核”とあまりにも相性が悪いという点です。『呪怨』の真の怖さは「説明できないものが、ただそこにあること」に尽きます。伽椰子はなぜこれほど強大なのか、俊雄はどこまで実体を持つのか。それらの理屈が整理されないからこそ恐ろしいのです。観る側は納得するのではなく、「関わったら終わり」という不条理をただ受け入れるしかない。その“解釈の余白”こそが、シリーズの恐怖を根底で支えていました。

本作が伽椰子の母のルーツに踏み込んだことで、その大切な余白は「説明」によって埋められてしまいます。母親の霊的行為は物語の起源を補強するものの、結果として伽椰子の恐怖を深めるどころか、削いでしまっています。「なぜか分からないが、遭遇すれば終わる」という圧倒的な存在だった彼女が、設定を与えられることで“理解可能な存在”へと引き下ろされてしまったのです。恐怖が神話化されるというより、資料化されてしまったような物足りなさが残ります。

ここで本作は、『リング』的なミステリーの面白さと、『呪怨』的な不条理の怖さの間で引き裂かれています。『リング』は明確なルールが存在し、調査を通して過去へ遡る構造と非常に相性の良い作品でした。謎を解くプロセスが、そのまま恐怖の深化につながるからです。対する『呪怨』は、謎が解けないまま理不尽に呪われるからこそ怖い作品です。本作の調査型構造は物語に推進力を与えた一方で、皮肉にもシリーズ本来の持ち味を相殺してしまいました。

加えて、呪いの「場所性」が薄れてしまったことも見過ごせません。本来の『呪怨』において、佐伯家は単なる舞台ではなく、空間そのものが怨念を蓄積した「呪いの媒体」でした。薄暗い階段、押し入れ、風呂場、屋根裏。生活空間の細部が死者の気配に汚染されており、そこに足を踏み入れること自体が“禁忌に触れる行為”だったのです。

ところが本作では、呪いがウィルスのように軽やかに移動します。東京からシカゴへと渡り、人から人へ、場所から場所へと伝播していく。副題の「パンデミック」を体現するアプローチとしては明快ですが、これは同時に「佐伯家」という特異点を平面化してしまいました。どこにでも現れる呪いになったことで、「ここだけは絶対に入ってはいけない」という局所的な恐ろしさが失われてしまったのです。

もちろん、シカゴの集合住宅が怨念に侵食されていく過程には見どころもあります。日本家屋に根づいていた呪いがアメリカの日常へ入り込み、家族の絆や生活の隙間を壊していく発想は、Jホラーの輸出系譜として非常に興味深いものです。ただ、そこから生まれる恐怖は、佐伯家に渦巻いていた閉塞感とは明らかに質が異なります。世界へ広がるほどに呪いはスケールを獲得しますが、引き換えに日本特有の「湿度」を失っていくのです。

伽椰子の扱いについても同様のことが言えます。本作の伽椰子は頻繁に姿を現し、病院、学校、暗室、アパートと場所を問わず出没しては、観客に分かりやすいショックシーンを提供します。ホラー映画としてのエンタメ性は高く、シリーズのアイコンを存分に楽しみたい人にとって、彼女たちの出番が多いこと自体は魅力に映るでしょう。

しかし、幽霊とは「姿を見せるほど怖くなくなる」性質を持つものです。かつての伽椰子は、単に物理的に襲いかかってくるモンスターではなく、「見えてしまった時点で死を覚悟する」ような絶望的な存在でした。画面の隅に佇む、気配だけを感じる、逃げた先で待ち構えている……その“絶妙な距離感”が恐怖の要だったはずです。ところが本作では、観る側と伽椰子の距離があまりにも近すぎます。彼女が積極的に画面を動き回り、襲撃し、見せ場を作れば作るほど、怪異としての底知れなさよりも「キャラクターとしての機能」が前面に出てしまいます。

その結果、本作は「おぞましい怪談」というより、「伽椰子と俊雄のお化け屋敷ムービー」といった趣に近づいています。エンターテインメントとして楽しむ分には申し分なく、迫力も十分にあります。しかし、じわじわと心を侵食するような怖さは影を潜め、定期的に幽霊が顔を出すアトラクション的な恐怖へと質が変化しているのは否めません。

構成面において、3つの物語を並行させる手法は、シリーズ特有のオムニバス的な断片性を意識したものと思われます。東京へ来たオーブリー、佐伯家に入り込む少女たち、そしてシカゴの家族。それぞれのエピソードが時間を錯綜させながら進み、最終的に「呪いのパンデミック」として結実していく。呪いが多方面へ波及していく様子を描くうえで、この構成は理にかなっています。

ただ、映画全体としてはやや散漫な印象を受けます。各エピソードの人物描写が浅いため、複数の糸が絡み合うカタルシスよりも、視点が頻繁に切り替わる煩雑さの方が目立ってしまっています。『呪怨』の断片的な構成は、本来「不条理な恐怖」を際立たせるためのものでした。しかし本作はそこに「呪いの論理的な調査」を組み込んでしまったため、断片性と説明性がうまく噛み合っていません。「分からない怖さ」を追求したいのか、「謎を解き明かす物語」を描きたいのか、その間で中途半端に揺れ動いているように見受けられます。

さらに、ハリウッド版Jホラー特有の「翻訳の難しさ」も浮き彫りになっています。日本的で湿度の高い怪談の雰囲気を保ちつつ、アメリカ市場に向けたダイナミックなショック演出を盛り込む。この折衷案は前作からの課題でしたが、本作ではその綻びがより顕著です。日本の怪談が持つ「語らない美学」と、ハリウッドの続編に求められる「物語の明快なスケールアップ」が相反しており、結果として水と油のようになっています。

そう考えると、本作は単なる失敗作というよりも、「Jホラーをハリウッドで続編化することの限界」を体現した作品と言えるかもしれません。Jホラーの恐怖を世界規模に展開しようとすれば、どうしても設定の説明やスケールの拡張が必要になります。しかし、その拡張こそがJホラーの命である“怖さ”を奪ってしまう。本作は、そんな構造的なジレンマを痛いほど分かりやすく抱え込んでいます。

結末においても呪いは決して解決せず、必死の調査や抵抗が何の救いにもならなかった冷酷な事実だけが提示されます。「どれだけ真相に近づこうと、遠くへ逃げようと、呪いは決して終わらない」。その一切の救いがない理不尽さには、確かに『呪怨』らしさが息づいています。

しかし、そこへ至るまでに過剰な説明とスケールアップを重ねてしまったがゆえに、肝心の絶望感があまり胸に響きません。もともと「理由もなく理不尽に呑み込まれる」からこそ恐ろしかったものを、「理由を解明しようとする物語」を経由した挙句、結局「やっぱり解決しませんでした」と突き放されるため、深い余韻よりも消化不良に近いモヤモヤが残ってしまうのです。

総じて本作は、ハリウッド版続編として呪いの世界を広げようとした意欲作でありながら、その拡張によって『呪怨』本来の余白と理不尽さを損なってしまった作品です。前作の焼き直しを避け、呪いを世界へ広げ、伽椰子の背景に踏み込み、複数の物語を交差させる設計には、確かに続編としての工夫が見られます。

​しかし、『呪怨』の怖さは、意味が分からないまま呪われること、場所に染み込んだ怨念から逃げられないこと、そして説明されない余白が観客の中で膨らんでいくことにありました。本作はそこに説明、調査、感染、世界展開を持ち込んだことで、構造としての面白さは増した一方で、『呪怨』本来の恐怖の密度は薄まってしまっています。

​『リング』的に呪いを調べる物語として見れば興味深い部分はありますが、佐伯家の暗闇に沈んでいた恐怖が、世界へ広がった途端に少し明るい部屋へ引き出されてしまったような違和感は残ります。怖い場面は十分にありますし、伽椰子と俊雄の存在感も健在です。ただ、呪いがパンデミックとして広がるほど、恐怖そのものもまた拡散し、希釈されてしまったという印象は否めません。
〓映画TK365/1089〓
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▫呪怨 パンデミック 
▫配信/U-NEXT
▫️Y!レビュー ★★★☆☆2.7
▫️T K評価: ★★★☆☆2.8
▫️映画TK通算:4289本
▫️Filmarks通算:3289本
kurt
3.3
ハリウッド版呪怨2作目。監督は清水崇。
前作からの続きで、前作主人公カレンを訪ねてアメリカからやって来た妹と日本でたまたま出会ったルポライター、女子高生3人組などが例の家に入ってエラい事になる話+α。

今回、伽倻子達は日本の呪いの家に入った人間は勿論、新たな設定により、アメリカに海外進出し呪う!冒頭の油ボトボトからのフライパンフルスイング!は中々のインパクト。笑 

いつものように時系列をずらしてくる流れながら、日本とアメリカでの話が並行して進んでいく展開。いつも以上に伽倻子と俊雄がバンバン画面に出て来るので、思ったより楽しかった。

伽倻子の子供時代が深掘りされたり、前作主人公が再び登場したり、と他にも見どころがあり、はじめに予想してたより個人的には楽しめた作品でした。(もはや怖さは感じ無いけど。)

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