小松屋たから

トイ・ストーリー3の小松屋たからのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)
4.2
「食わず嫌い」というほどのことでも無いけれど、お恥ずかしながらこれまで実はきちんと観たことが無かった「トイ・ストーリー」。劇場で観た「4」の予告が面白そうだったので、「1」から「3」まで一気に鑑賞。

いやー、本当に楽しいシリーズでした。これが、20数年前から作られていたのにちゃんと観ていなかったなんて。「スター・ウォーズ」のように、自分も歳をとりつつ次の公開を楽しみに待ちながら順に観ていたら幸せだっただろう。

ピクサーだけに、純ディズニーとは異なり、子供にも(例え無邪気であっても)悪意があるのだ、ということをきちんと描いているし、様々な映画のオマージュやパロディ満載で、ただのCG技術自慢ではない一大叙事詩だった。ひとつのおもちゃのはずのウッディの成長譚としても見応え十分。断捨離ブームもよくわかるけれど、「モノ」へのこんなアプローチも素敵だ。

1は、おもちゃの「使命」に気づかせてくれる。おもちゃの役割は子供を喜ばせること、そして、子供に愛情を教えること。おもちゃを愛せる子供は生き物への愛情を知り、イマジネーション豊かな人間になるのだろう。仲間たちの絆は、そのまま、おもちゃと人間たちの絆だ。

2は、おもちゃの「自我」を通して、子供が成長していくことにつれて増す不安、けれども、それを受け容れなくてはならない覚悟を切なくみせてくれる。「NGカット集」があることで、ヴィランの存在も救われるのが優しい。初期の制作段階から勃興してきていたであろうコンピューターゲームと上手く共存させているところもうまいなー、と思わされる。

3は、やはりやってきてしまった、大人になった子供との避けられない別れ、そして、鮮やかな継承。おもちゃたちの永遠の宿命を優しく熱く教えてくれる、「インディ・ジョーンズ」や「ミッション:インポッシブル」さながらの一大アクションエンターテインメントだった。遊んでもらえないおもちゃの哀しさは、世の中に必要とされたいと日々もがいている我々大人の心にも痛切に突き刺さってくる。まさに傑作。

しかし、この3部作でほぼテーマは語りつくされた感もある。「4」は一体どんな話になるんだろう。色々な再会? そして、新たな世界との出会い? 楽しみです。