小松屋たからさんの映画レビュー・感想・評価

小松屋たから

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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.8

効果的にお酒を飲んだら仕事の成果があがる。それを実践してみた大人たちのお話。コメディかと思いきや、意外や意外、飲酒という行為を通してそれぞれの人生模様が浮かび上がってくるという、ヒューマンドラマだった>>続きを読む

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)

3.3

ミニシアターが好きだ、と言っても、個人のお客さんがその経営を救うことができるほど現実は甘くない。映画館の灯を消すな、と口では言っても、毎日、通っているわけでもない。クラウドファンディングも一時の流行り>>続きを読む

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

4.3

いやー、楽しかったです!

主人公がサングラスをかける=自我が芽生える、というのは、アダムとイブの物語を反映しているのだろうか。海外の映画には、自分にはわからない、宗教的感性が自然に取り込まれていて、
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.5

冒頭の祝祭感は素晴らしくて、多くの人が期待していた東京オリンピックの開会式とはこのようなものだったのかもしれないと思わされた。ただ、物語はかなり荒く、評価の高いJ-POP調の歌も含め、全体的に美麗では>>続きを読む

シュシュシュの娘(2021年製作の映画)

3.5

入江悠監督がコロナ禍に立ち上げた「自主映画」。仕事を失ったスタッフ、俳優と、商業映画では製作できない題材の映画を作る、未来を担う若い学生達と作り方を模索する、苦境にある全国各地のミニシアターで公開する>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.9

これはとても感想を書くのが難しい作品。どのような表現をしても男性擁護、女性軽視、もしくは逆に過剰な権利主張者と捉えられるかもしれないという恐ろしさがある。寄らば切るぞ、みたいな…。この切っ先の鋭さゆえ>>続きを読む

キネマの神様(2021年製作の映画)

3.5

松竹映画の100周年記念作品で山田洋次監督。

ある意味、それがすべての答えなのかもしれない。
誰も悪い人が出て来ず、みんな優しい。
現代的とは言い難いファンタジーだが、これこそが、「らしさ」なのだろ
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モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)

3.7

日本で初めて公開されるモロッコの長編映画だとか。女性たちの過酷な運命をひたすら見せられるのかと思いきや、さにあらず。映し出されていたのは、社会の不条理に苦しみながら、それでも自分自身で人生の選択をしよ>>続きを読む

最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

3.2

若い頃、全然わかっていなくても、「これは面白い!」と言わないとなんかカッコ悪くて、背伸びして色んな現代美術を見ていた恥ずかしい過去を思い出させる作品。遥か未来の人類が、今を生きる我々に静かに語り掛けて>>続きを読む

83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)

3.3

主人公の最後のセリフがすべて。近親者を同様の施設に入居させていた経験のある自分にとっては、身につまされるエピソードの連続だった。

第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート作品。けれども、
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明日に向かって笑え!(2019年製作の映画)

3.6

邦題は、もちろん、あの名作をもじった訳だが、元ネタような自分のアイデンティティを求めながら社会に反抗しつつ新たな自由を求めてあがく若者とは異なり、不器用な市井の人間たちがそれぞれの決して見栄えの良くな>>続きを読む

クルエラ(2021年製作の映画)

4.3

コロナ禍になって、去年は、映画館に行く回数が極端に減った。すると、必然的にスマホやPC,テレビで配信経由の映画を観る機会が増えたわけですが、なぜか、それと並行してFilmarksに文章を書く意欲が失せ>>続きを読む

AI崩壊(2020年製作の映画)

3.6

大規模公開のエンタメ系実写邦画で、コミックや小説原作、実話ベースではなく監督自身の手によるオリジナルストーリーという作品は結構少ないので、まずは、制作、公開関係者の勇気を称えるべきだろう。結果、興収が>>続きを読む

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

4.0

「ダ・ヴィンチ・コード」4作目の出版の際に一カ所に翻訳者たちを隔離したことが元ネタとか。確かに大作映画本編が劇場公開より先に流出して脅迫騒ぎになったり、iPhoneの新モデルのデザインが暴露サイトに漏>>続きを読む

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

3.6

お屋敷、遺産相続、癖のある家族たち。まさに、クリスティ風のミステリー。

監督のオリジナル作品ということもあるからか、特にダニエル・クレイグ演じる探偵・ブランのキャラクターがまだまだ、発展途上、という
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サヨナラまでの30分(2020年製作の映画)

3.5

若者たちのバンドもの、メジャーデビュー一歩手前での内輪もめと仲間の喪失、一人ヒロイン、死者からの励まし、見守る懐深い大人、解散からの再起…この系統の映画は本当に多くて、音楽タイアップというビジネス展開>>続きを読む

ナイト・オブ・シャドー 魔法拳(2019年製作の映画)

2.8

「〇〇拳」と邦題をつけた配給会社の苦労がしのばれる…

「聊斎志異」の原作者が実は妖怪ハンターで、跋扈する魑魅魍魎を封じていく、というスペクタクル作品。CGやVFXのクオリティの低さや西遊記を思わせる
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テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

3.9

雨で一日で変わってしまった地形、馬に乗れない役者、流されていく機材、中々現れないスター、スポンサーの接待に追われる日々… 映画作りの大変さ、切なさ、情けなさを曝け出して、でも、その「未完成」をネタにし>>続きを読む

キャッツ(2019年製作の映画)

3.6

傑作か、怪作か。「ライオンキング」実写版では、動物たちが人間の言葉で会話することに段々と慣れていったけれど、この作品では「猫人間」(いや「人間猫」?)」に対する違和感は最後まで拭えないままだった。>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

3.9

観終わってから初めて尺を確認したら、131分。
ところどころ、もっと詳しく知りたい人物背景や事件の詳細があって、「あれ、そこでもう次の展開?」「え、この人、ここで終了?」みたいな、何か、掘り下げ方を物
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

死後何十年経ってもこうやって色々な映画のネタにされ続けるヒトラー。

その存在感や、罪深さはあまりにも大きいということだろう。「誰の心の中にもヒトラーらしき存在はいて、それが支えともなり、悪意の引き金
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ラストレター(2020年製作の映画)

4.2

結構、泣かされた…
紡ぎ出される一つ一つの言葉が美しい。出演するすべてのキャラクターが、不器用ながら、与えられた場所で懸命に生きていることが伝わってくるので、一見悪役の豊川悦司の言葉でも素直に頷けた。
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ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

3.5

この二人の共演の「ラブコメ」ということで、下ネタの強度やリアリティの無さは全然気にならなかったが、世評の髙さほど笑ったり、感動したり、という気持ちにはならなかったです。。

理由としては、シャーリーズ
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.3

計算しつくされた精緻で美しい構図。「半地下」と「高台」の比較だけでは終わらない重層的な作品構造。ジャンル分けは考えていないという気構え。だから観ていない人にどのように勧めたら良いのかどうか全然わからな>>続きを読む

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.2

フォードVSフェラーリというよりは、ビジネス対人間性(よく見ると原題はVSじゃなくてVなんですね)。そもそもフォードは巨大資本の大企業であることに対し、フェラーリはレーシングカーに特化した中小企業だし>>続きを読む

カツベン!(2019年製作の映画)

3.6

適当につぎはぎした映像に好き勝手に「説明」をつけただけでも観客は盛り上がることができる。映画って、そもそも「見世物」「余興」なんだ、だからあんまりかっこつけないで自由に観ようよ、楽しもうよ、という、映>>続きを読む

燃えよスーリヤ!!(2018年製作の映画)

3.0

だからこそなんでもありのインド映画、と言われそうだけれど、まずは、途中の「妄想」の繰り返しをやめたら、もっと面白く観られたんじゃないだろうか。「妄想シーン」があって、直後に「いや実はこうだった」という>>続きを読む

ラスト・クリスマス(2019年製作の映画)

3.7

クリスマスの恋人向け映画で、自分が観る作品ではないだろうな、と思いつつも、劇場へ行ったのは、TOHOシネマズの「年末調整」(?)のため。

ここしばらく、シネマイレージの累積ポイントがもう少しで最後の
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

4.0

やっぱり感傷的になりますね…

40数年間、これほど、感嘆、絶賛、憧れ、期待、待ち遠しさ、そして、苛立ち、疑問、不満…様々な感情を自分の中で湧き起こさせてくれたシリーズは他には無い。

子供の頃、何か
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テッド・バンディ(2019年製作の映画)

3.8

有名アイドルグループや、歌劇のトップスターは、ライブのステージ上や通路から、すべての観客が自分と目が合ったかのように思わせることに長けている、という話を聞いたことがあるが、テッド・バンティも、法廷だけ>>続きを読む

屍人荘の殺人(2019年製作の映画)

3.1

連続ドラマの完結編を映画で、というケースはよくあるが、本作は「連続ドラマ」部分がなく、いきなり現れた知らない人たちの過去や背景をざっくりと説明されただけで彼らに想いを寄せろ、と言われる感じなので、この>>続きを読む

決算!忠臣蔵(2019年製作の映画)

3.5

最近、視点を変えた時代劇映画が盛んで、食傷気味なところはあるが、でも、次の世代へこのジャンルを受け継いでいくには必要なことなのだろうと思う。

忠臣蔵にいくらお金がかかるか、という発想は面白く、確かに
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ルパン三世 THE FIRST(2019年製作の映画)

3.3

やっぱり、あのテーマ曲が流れると気分があがるし、なんでも許せる気持ちになってしまう。何年か前の実写版が物足りなかったのは、内容もさることながら、音楽が異なったことも大きいのだと改めて思わされた。

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羊とオオカミの恋と殺人(2019年製作の映画)

3.2

ものすごく古くは「屋根裏の散歩者」とか、近過去では「真木栗ノ穴」、最近では「アンダー・ユア・ベッド」とか、「覗きモノ」って、基本はもちろんほぼ犯罪行為ベースなのに、なぜか、耽美かつ文学的な趣きが宿る。>>続きを読む

THE INFORMER/三秒間の死角(2019年製作の映画)

3.5

予告編で、潜入、FBI、NY市警、麻薬組織、という既視感溢れるワードが並んでいると、その時点で、内容は大体予想がつくのだけれど、つい観に行ってしまう。で、実際にそこそこ楽しめてしまう。

本作は原作が
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ライフ・イットセルフ 未来に続く物語(2018年製作の映画)

4.0

ほとんど事前情報が無いまま、たまたま空いた時間に映画館に行って観てみたら、公開規模に比して、結構、壮大なストーリーで驚いた。

二つの大陸にまたがる数十年にわたる人間の愛と生の連鎖を描いた優しい叙事詩
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