Ricola

マルクス兄弟デパート騒動のRicolaのレビュー・感想・評価

マルクス兄弟デパート騒動(1941年製作の映画)
3.6
いつものマルクス兄弟の言葉遊びのような言い回しや、ノリは控えめのように感じた。
彼らの演奏シーンは多めで嬉しいが、スラップスティックコメディらしいシーンでは、ちょっと彼らの限界を感じるようで少し残念ではあった。


今回は私立探偵を演じるグルーチョ。
彼は雇われ、デパートの権力争いに巻き込まれる。
そしてやはり、チコやハーポとともに周りを巻き込んでいく。

長めの、それもいつも以上に本格的な(?)、ミュージカルシーンでは、デパートの紹介も兼ねている。
ファッションショーを模した洋服売り場のドレス紹介での、
「色は赤だがテクニカラーは高い。」
という皮肉は笑った。
だからこの映画は白黒なのねという笑

チコとハーポの連弾のシーンは素晴らしくて見入ってしまう。
ピアノの演奏でもボケとツッコミのようなやり取りで笑わせるから、長くても飽きない。

またハーポによるハープ演奏のシーンの優雅さ。
鏡を用いて錯覚に陥らせることで、それがあたかも夢であるかのように見せる。

爆走して逃げるシーンは、サイレント映画への回帰のようであった。
キートンのアクロバティックな動きを編集によって可能にしているようで、その動きのぎこちなさももはや味のあるように思える。
しかし彼ららしい、あの『オペラは踊る』のようなアクションとはまた違うようである。

相変わらず能天気で、でもなぜかうまく物事がいってしまうのとか、話が通じないのとか、マルクス兄弟節は炸裂するものの、ギャグの量も濃さも、他の作品と比べると少なめであった。
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