なんとも厄介なシロモノを観てしまったものだ……ネタを割ることは慎むが、世間で言われている「胸糞悪い」という言葉は確かにこの映画に当てはまる。だが、微妙な表現になるがこの映画を観終えて聞こえて来たのはミヒャエル・ハネケという人物のどす黒い高笑いだった。お前らこんな映画にマジになっちゃってどうすんの……というメッセージを感受したのだ。そう思うと、全てが許せるようなそうでもないような……あり得ないほどの長回しを使って、凄惨な殺戮を行うものの具体的なグロテスクなシーンを敢えて禁欲して語られるこの作品は、どこかまったりとしていて……緊迫感ゼロと言うと嘘になるが、上品な印象を感じさせた(これがハネケ監督に対する「悪口」でなければいいのだけれど……)。