ハル

シベールの日曜日のハルのレビュー・感想・評価

シベールの日曜日(1962年製作の映画)
4.0
ハーディー・クリューガー扮する元パイロットの男ピエールは、修道院に捨てられた少女と出会い、彼女の中に自身のそれに似た孤独を感じる。2人は日曜日が訪れるたびに親子の振りをして逢瀬を重ねるが、いつしか周囲の人々の好奇の視線にさらされてしまう。

インドシナ戦争で心に傷を負った男と父親に捨てられた少女のプラトニックな愛を描いた作品である。彼らの間には、世間の人々が考えるような、おぞましい肉体関係は存在しない。そこには、父子のような、それでいて、歳の離れた恋人のような、清廉な心の結びつきがあるのみである。しかし、愛は肉欲を伴うものだという間違った前提が偏見と誤解を生み、彼らの関係に楔を打ってしまう。何ともやり切れない気持ちが残るが、ラストで少しだけ救われた。
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