シベールの日曜日の作品情報・感想・評価

シベールの日曜日1962年製作の映画)

CYBELE OU LES DIMANCHES DE VILLE D'AVRAY

製作国:

上映時間:116分

ジャンル:

4.1

「シベールの日曜日」に投稿された感想・評価

topper

topperの感想・評価

4.3

このレビューはネタバレを含みます

記憶喪失の青年ピエールと両親に捨てられ寄宿学校に入れられた孤児シベールとの恋愛映画。

美しい森の映像や2人の純粋な心の交流の描写が素晴らしい。

恋愛映画という視点で語られがちだが、私はこの映画が「戦争の残酷さ」を描いているとどこかの本で読んだためか、一貫して「暴力の虚しさ」がテーマのように感じた。

戦争という暴力によって記憶を失った青年が、嫉妬に狂い人を殴り傷つけ、シベールとの逢瀬を邪魔されると恋人を殴り、最終的に(直接的に描かれていないが)警官の銃に撃たれ死んでしまう。

暴力で始まり、暴力で終わる。その対比のように2人の美しい恋が描かれ際立つ。静かな映画であるが、全くもって時間を忘れてしまう程充実した映画体験だった。
Taul

Taulの感想・評価

3.0
『シベールの日曜日』現代の視点では少女との関係がノイズになるがそんなことが恥ずかしくなる程とてもピュアで切ない作品。モノクロの映像が美しく印象的だ。

2012年3月鑑賞。
2回目鑑賞。 
20歳前後に見たようだ。 
いまでは大変な犯罪とみられる題材だ。しかし私にはこのような大らかな善意に満ちた昔の世の中の方が良い。子役の主人公はクルーの中川によく似ている。
とても美しく、切ない物語。

湖の畔で遊ぶ二人が瑞々しく微笑ましく、そして切ない。
孤独な魂が巡り会ってしまったから、なのか。

やや中弛みは有りましたが、前半の工夫を凝らしたショットと後半の盛り上がりでダレずに観られました。
クリスマスが近付く頃、また見返したくなりそうな名作です。
Yoko

Yokoの感想・評価

4.0
こんなにもロマンティックな映画を、一番好きだと勧めてくれた父のことを愛しく思う。愛してあげるから独りにしないで、と互いを想っていた気持ちは彼らのもので、邪魔しちゃいけない。
セルジュ・ブールギニョン監督作品。
撮影:アンリ・ドカエ。音楽:モーリス・ジャール。
アカデミー賞外国語作品賞受章作品。
第一次インドシナ戦争中の戦闘機墜落事故により記憶喪失になってしまったピエールは空しい毎日を送っていた。ある時駅で父親から修道院に連れていかれる少女フランソワーズを見かけるが・・・という話。

30歳の記憶喪失で心が子どもになった男と、12歳の両親と祖母から見捨てられた少女の心の交流、恋愛関係を描いた作品。
純粋な恋愛で感動したという意見や、ロリコンものとかいろいろと意見がある作品だけれど、自分的には些か怖さを感じる作品だった。
記憶喪失であれど、大人だと思っていたピーターが、フランソワーズと仲良くしていた少年をぶったり、同棲している妻のマドレーヌからキスをされたところをフランソワーズに見られていたため、咄嗟にフランソワーズを殴ったり。映画を見る内に記憶喪失により、心が子どもになっていることが分かるけれども、言い知れぬ怖さを感じた。

フランソワーズの境遇や二人の最後には悲しさを感じる。怖さと悲しさを感じる不思議な映画体験だった。
前回のレビューから二週間近く経ってしまいました。その間も皆様から沢山のいいねを頂き心より大変恐縮しております。

やはり志村けんさんの死去が堪えたせいか、しばらくはレビューを書くどころか映画すらあまり観る気が起きなかった。

自分は所詮その程度の映画好きだったかもしれない……。

徐々に短文レベルですが、レビューも再開しようと思います。

ハーディー・クリューガー主演の『シベールの日曜日』。

この陰鬱な時期にこのような暗い映画を観るのは結構精神的に来るのだが、アンリ・ドカエの撮影が素晴らしく、白黒で映し出された公園の情景の美しさにかえって心が癒された。

インドシナ戦争で少女を殺したこと(もしくは思い込みか)がショックで記憶喪失になった男(演:ハーディー・クリューガー)が主人公。

今では自分の看護してくれた女性(演:ニコール・クルーセル)と同居していた彼は、ある日、駅で父親と連れて歩く女の子(演:パトリシア・ゴッジ)と出会う。

少女はちょうど寄宿学校へ入学させられるところで、すぐさま少女の心の寂しさを感じとった主人公は後日、彼女に会うために寄宿学校を訪れる……。

和田誠さんは後年『レオン』を観た時に本作のことが頭に浮かんだそうだが、今の方々は逆にこの映画を観て『レオン』を思い出す方が多いと思う。

本作は劇的な結末をむかえるが、肝心の部分はあえて映し出されず、かえって観客の想像をかきたてる。

監督のセルジュ・ブールギニョンは日本の水墨画が好きだったそうで、確かに本作もモノクロの明暗がとても印象的だった。

ちなみに作曲のモーリス・ジャールは本作で注目され、同年の『アラビアのロレンス』に大抜擢されるのである。

さて、かなり有名な作品だがレンタル店にはまず置いておらず、買うとしてもプレミアがついて安くても六千円以上になっているのでなかなかお目にかかる機会がない作品でもある。

なのでもう少し安い値段になってくれないかなと思う。

■映画 DATA==========================
監督:セルジュ・ブールギニョン
脚本:セルジュ・ブールギニョン/アントワーヌ・チュダル
製作:ロマン・ピヌス
音楽:モーリス・ジャール
撮影:アンリ・ドカエ
公開:1962年11月21日(仏)/1963年6月15日(日)
STARLET

STARLETの感想・評価

-
戦争で記憶をなくしてしまい、精神的に子どもになってしまった青年と、親に見捨てられて孤児院で過ごす女の子の、プラトニックラブな物語。

水に広がる波紋が美しい。
周りの大人たちは、外側ばかり気にして、内側を見ようとはしない。

切なくも、美しい物語です。

(思い入れが深いので、いつか長いレビューを書くかも)
koocky

koockyの感想・評価

3.5
かなり昔に観たので記録として…。
たしか悲しい物語だった気がする。
ハーディー・クリューガーのフィルモグラフィーの中でもかなり重要な位置を占める作品ではないかな。これと似た傾向の作品ではサム・ロックウェルの「キャメロット・ガーデンの少女」ってのもあるけど、心に傷のある大人の男と純真無垢な少女の心の交流を描いた映画って魅力的だよな。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.0
‪「シベールの日曜日」

‪冒頭、パリ郊外。戦争で記憶をなくした青年ピエール。街の寄宿学校、とある少女との出会い、孤独、約束、絆、鳩、川辺の散歩、占師、父に棄てられる。今、湖のほとりで静かに過ごす2人だけの日曜日が映し出される…本作はセルジュ・ブールギニョン監督がベルナール・エシャスリオーの"ビル・ダヴレイの日曜日"を映画化した1962年フランスのモノクロ映画で、久々に再鑑賞したが大傑作だった。やはり、少女フランソワーズを演じたパトリシア・ゴッジが可愛く、大人顔負けの芝居を見せてくれる。「かもめの城」の時のお芝居も最高だったが、やはり本作は彼女あってこそ水準が保たれた作品だと思う。早くこっちもBD化してほしいものだ。

この作品は今でこそ唯のロリコン映画だと酷評する奴もいるが、俺は断固としてこの作品を守りたい。この映画には戦争のトラウマで記憶を失った心優しき青年と父親に棄てられてしまった少女の切なく、淡い恋を描いた逸品で、一筋の愛情とはこの事を言うと思い知らされる絶品の作品である。まさにALL TIME BESTに入れてもいい程の内容を描いている。付き合っては別れて、別れては付き合っての繰り返しの現在の軽い恋愛とはまるで違うのである。

因みに1962年度アカデミー外国語映画賞を受賞しているし、我が国、日本ではキネマベストテンの第2位になっている。これまた調べるとベルイマンの「第7の封印」やヒッチコックの「鳥」などを抑えて、堂々の2位はとてつもなく凄いと感じてしまう。因みに1位は「アラビアのロレンス」だったそうだ。それにしてもこの60年代に競っていた作品のタイトルを見ると神レベルのものだらけで、今の映画祭のノミネート作品とは比べ物にならない…。これが長編デビュー作とは信じられないくらいのクオリティだ。

また撮影のアンリ・ドカエが映し出すパリの西郊の森や池の描写がなんとも美しく息を呑むほどだ。本作はあえてなのか知らないが、年代を記載していない分、いつの時代の物語かよくわからない。強いて言うなら、冒頭のフラッシュバックでのインドシナ戦争らしき描写を垣間見ると、やはり1950年代なんだろうと推測ができる。本作はファーストショットからインドシナ戦争の描写が写し出される。飛行機のパイロットが主人公である。

続いて地下鉄の列車が通り過ぎる(隙間)ショットの一瞬ごとに青年の顔が見え隠れする。子連れの父と青年が駅で降りる。聖マルグリット修道院はどこにありますかと少女を連れた父親が椅子に座る青年に聞くが青年は答えず2人はそのまま行ってしまう。続いて青年が泣きながら喚いている少女に話しかける。そこでビー玉の様なキラキラ光る宝石か星のかけら的な物をちらつかせながら少女は"ありがとう"と言うが父親はそのまま手を取り、引っ張って修道院に彼女を預けてしまう。

青年は尾行して扉の前で父親と対面するが父親は自分のカバンを捨てて、走りながら列車に飛び込み去る。そこで青年は駅のベンチに座り、鞄の中にある書類を読み始める。そこで父親がもう戻ってくる事がないことを理。続いて青年ピエールと女性の関係が写し出される。このシーンで青年が戦争による後遺症で記憶がなくなっている事が判明する。続いて少女フランソワーズに面会人として青年がやってくる。修道女に7時までには戻ってくるようにと言われ、2人は街を歩きながら少女の生い立ちを聴き始める。そして青年の自宅に上がり、孤児院に私を戻さないでと懇願する少女、困りながら、マドレーヌ(彼女)が帰ってきたら困惑してしまうと少女に行って説得する。

そこから孤児院に戻る少女をまた青年が日曜日に迎えに行く。そうすると少女は青年をパパと呼び合い始める。そして2人で川辺を散歩する。そして少女が青年に年齢を聞いて私が18歳になったら結婚しましょうと話す…と簡単に説明するとこんな感じで、これから様々な展開が繰り広げられていく。それにしてもパリ郊外の夜の街並みを映し出したショットが美しすぎて素晴らしい。特に孤児院から2人が川辺の付近を散歩しながら抱き合ったりするシーンや水面に映る2人の姿と木々の描写が美しい。映像は綺麗なのににもかかわらず、流れる音楽はどことなく不気味で厭世的で怖い。

滑らかなカメラワークで自然を映し出す場面はとても好き。特に木々と水の風景を波紋で反射させたシーンや光の捉え方、または霧の魅せ方は最高だ…正に天才的な撮影である。遊園地のカーレース場的な所で、青年がパニック発作になって、来客を巻き込んで大騒動になる暴力沙汰は見ていて迫力がある。終盤に差し掛かるに連れ、クリスマスツリーを盗んで、少女と一緒にささやかな喜びを分かち合う場面は感動する。そして少女がツリーにかけた小包を青年が開封すると"シベール"と一言書いたメモが出てくる。それに彼は感動し、美しい意味のシベールだねと言う。

ラストの物語の急展開に感動して、涙を流してしまうほど少女のクローズアップに胸打たれる。ところで劇中で青年が名前のシベールをとても美しい娘と言う意味合いで呼ぶ場面があるのだが、この点は非常に汎霊説な宗教的要素が垣間見れる。先程ゴッジが水準に貢献したといったが、ドカエの撮影も計り知れない成功を収めている。まず、シルエットの捉え方、自然と風景の一体性、ロング、クローズショットの数々は素晴らしいの一言である。本作がオスカー映画に輝いたのは職人が揃ったスタッフのおかげと言っても過言では無い。

それにしても50年以上前の作品なのに音声も音響も素晴らしい状態で現世に残っていたのは奇跡的だ。まだ未見の方はぜひお勧めする名作だ。

余談だが、この作品には日曜洋画劇場で吹き替え版があるそうだが、残念ながらイマジカレーベルのBDには収録されていなかった…‬。
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