あなぐらむ

眠狂四郎 殺法帖のあなぐらむのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 殺法帖(1963年製作の映画)
3.7
雷蔵の眠さま第一作は、思いのほかライトテイストな無頼の徒、べらんめぇ口調の狂四郎。
本作では寺ではく船宿に住んでおり、女スリや芸者といった生活感ある市井の人との接触がある。

お話はトレジャーハントもので、加賀百万石の存亡を巡り悲運の女・中村玉緒とのロマンスもあり娯楽時代劇感が強い。これはこれで全然ありな田中徳三風味。城健三朗(若山さん)が少林寺の使い手の好敵手役。

狂四郎を巡る扇町景子&真城千都世の徒っぽいお姉さん方のさや当ても楽しく、小林勝彦演じるスリもいい味。脚本の星川誠司はしかし、本作の出来がいまひとつだったこともあって、原作のシバレンと揉めつつも、三隅研次「眠狂四郎勝負」で虚無感を漂わす狂四郎像を創作する。今でいうリブートが功を奏して、シリーズが続く事となった。