Cozy

告白のCozyのレビュー・感想・評価

告白(2010年製作の映画)
4.6
中島哲也監督の真骨頂にして最高傑作。
原作に負けず劣らず何度見てもあっという間の映像体験ができる作品。

登場人物それぞれの語りのスタイルが終始取られているため、本来客観的に見ればサイコパスという短絡的な言葉で片付けられそうな中学生たちが、彼、彼女の中では理路整然とした解釈を持って行動している不安定さが、なんだか妙にリアルで面白い。

特に橋本愛がすごく良い。圧倒的な松たか子のターンであるプロローグから一転、関連する登場人物全てと相関を持ちながら、不幸にも堕ちていく姿が悲劇的である。
本作の登場人物の中でも、比較的ニュートラルな彼女が不幸な道を辿ることがこの映画が胸糞と評価される所以なのだろうが、学校という閉鎖的で異質な空間の中で、何者にも支配されず、ニュートラルで居続ける精神を持つ人間というのは、逆説的に捉えれば、確固たる自我が形成された頑固な性質を持っているため、己が見つけた拠り所を見つけることで、陶酔し、盲信してしまうのかもしれない。そのため、ルナシー事件に感化されたのと同様に、少年Aに惹かれ、堕ちていく姿は儚く、そして危ない。そのスリリングな展開を彼女が見事に表現されていることに感嘆する。

また、中島監督の不穏な音楽の使い方、場面の切替などのテクニックが凄まじい。原作が素晴らしいため、伏線回収も見事だし、最後まで丁寧に映像化されている。森口先生の制裁が完遂し、少年Aの口癖を真似てエンドロールに向かう様は、不謹慎ながら圧倒的な爽快感を与えてくれる。勿論、少年法に対しての勝利という森口先生側の視点に立ったからこそ抱いた感情ではあるが。

とても悲劇的だが、ストーリー、映像体験、キャスト、どれをとっても比類をみないため、何度も味わいたくなってしまう作品である。
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