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ディープ・ブルーのCozyのレビュー・感想・評価

ディープ・ブルー(1999年製作の映画)
3.8
多くの犠牲を払ったけど、結局アルツハイマーの薬はどうなったのか。って考えるのは野暮だ。笑

地雷溢れるサメ映画の中では個人的にかなり評価が高い作品。幼い頃から何度もテレビで見て楽しんでいたが、改めて見て色々と思ったので書き連ねる。

まずは始まりからジョークが全面に効いている。入口こそやっぱりかと思わせる定番演出から一転、閉鎖的な海洋研究所の舞台が切り替わる様がとても面白い。特に海洋研究所の作り込みは見事。潤沢な予算を感じる。

またアルツハイマーの薬をサメの脳のタンパク質から採取するというような動機を明確に描いた印象がある。ジュラシックパーク然り、パニック映画は起承転結の起の部分が大事なので、ここでしっかりとキャストの紹介や、相関性を丁寧に描いていることが後のパニックでも効いてくる。

次に犠牲になっていくキャラクターたち。
この映画は誰がどの順番で犠牲になっていくのか全く見当がつかない。食われて同然と思えるような圧倒的に嫌な奴がいないため、なんならみんな助かってほしいとさえ思える気持ちになる。監督はそれを容赦なく裏切る形でこちらの心を手放さない。それは最後までそうだ。どんどんと予想を裏切り、タブーとも言えるような事も平気でやっちゃう。先述したアルツハイマーの薬は無事に届くストーリーを描いていた自分にとって、最後は落胆の声をあげるしかない。それでも九死に一生を重ね続けるコックがとても魅力的なので、なんだか納得してしまうのだ。コックがオーブンで死ぬなんて、、のシーンはいつも楽しい。逆にサミュエル・L・ジャクソンに対する容赦なさもこの映画のポイントかと思う。必見だ!

最後に、当たり前のように重要な点だが、サメ達がちゃんと怖い。笑
背鰭だけ見せるような演出を重ねるのではなく、水中での格闘シーンも含め、チープさを感じさせない。これは潤沢な予算ありきなのかもしれないが、意志を持って狙ってくる利口なサメをリアルに見せるために予算をつぎ込んだのは正解だと思う。

総じてB級とは言わせないが、
B級の良いところも取り入れた
とても楽しめる映画だと改めて感じる。
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