Cozy

ミッドサマーのCozyのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.8
この映画の中で感じる数々の嫌悪感を経験した先に見たエンディング、果たしてこれはハッピーエンドと言えるのだろうか。

アリアスターは人がどこで嫌悪感を感じるかよく知っている。そしてそれを平気で重ねてくるからたちが悪い。
自分ももれなくその辺の気持ち悪さにはゲンナリしたが、だからと言ってこの映画が面白くなかったわけではない。
何故ならその嫌悪感の先にみたエンディングは、その嫌悪感があったからこそ、まごう事なくハッピーエンドと捉えることができるからだ。

アリアスターはダニーが新しい家族を得る物語を描いている。ダニーはただ彼氏であるクリスチャンに自分の辛さを共感して、受け入れて癒しを与えてもらいたかった。しかしながら、数々の辛い出来事が起きるのに、彼氏は自分の論文の事しか考えていない。
それが叶わない中、ホルガの人々にはその悲しみを共感してもらい、受け入れて癒しを与えてもらった。ダニーはそんなホルガを受け入れ、クリスチャンを断ち切る。
クリスチャンに対する小さな恋愛感情ごときが、ホルガという家族の絆ができた今、何の意味もないのだと悟ったように。
たとえそれが狂気じみた世界でも彼女は新しく生きる場所と家族を見つけた。身も心もホルガの人と共になったダニーは晴れやかに笑う。見事なハッピーエンドである。
客観的に見た時、ダニーはカルトに取り込まれたとなるのだろうが、そこまで数々の嫌悪感を味わった中、この悪夢から逃れる方法は、死ぬか、受け入れるしかないのだ。受け入れるという選択ができたダニーに対して、「よかったな」の一言を放ってしまうのだ。
この描写を映画の最初で見せられていたなら、なんと惨いとなるのだろうが、こちらの価値観を一つの映画の中で変えてしまうアリアスター、恐るべしである。

最後になるが、この映画は自分がどこで嫌悪感を感じるかの尺度を測るのにちょうどいい。笑
自分が一番嫌悪感を感じたのはカルト的なものでも、肉体破壊描写でも、生々しい性描写でもなく、クリスの飯に仕込まれたアレであることは記録として残しておきたい。


ほんま嫌すぎた。。笑
Cozy

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