Cozy

映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコのCozyのレビュー・感想・評価

3.8
話題になっていたのでアマプラで視聴。

キャラクターが言葉を発さず、ナレーションによって進んでいくという展開は、退屈しがちで難易度が高いと思ったけども、緩くも細部までこだわった画のタッチと可愛いフォント文字ですみっこ達の感情を表現することで、世界観に違和感なく入り込めた気がする。

特にこの映画がナレーションだけで進んでいくことが良い効果を生んでいるなと感じたのは、クライマックスの別れのシーン。
いわゆるホロリと悲しいんだけど、心が晴れやかになる救いのある別れの瞬間に心がグッとくる。ここでよくあるキャラクターが涙を誘う言葉を連ねて別れを告げるシーンなどがあると興ざめる。感情をともにし、言わずとも理解し、悲しみを受け入れた上での行動する、その美しさが見事に描かれていた。さらに別れの後に救いを示してくれたことで、映画の後味が誰にとっても暖かいものにしたことも素敵な演出だと感じた。

なお、赤ずきんのオオカミや桃太郎の鬼など、いわゆる勧善懲悪の世界観を描くお伽話の悪役に焦点をあてていたのは興味深かった。
本作で友達がいないひよこと最も感情を共にするのが、オオカミや鬼なのだが、彼らも同じく桃太郎や赤ずきんが主役の世界で孤独を感じるメタファーだったのかもしれないなと深読みした。
めでたしめでたしで終わるお伽話の定型は、実は誰の立場でどう捉えたかによって変わるんだよ。そう言ったことを子供達に押し付けがましくなく、教えてくれる良い映画だと思った。
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