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ドクター・スリープのCozyのレビュー・感想・評価

ドクター・スリープ(2019年製作の映画)
4.4
ダニー役のユアンマクレガーがシャイニングを使えるなんて、まさにフォース使えるオビワンの再来じゃん!!!しかも息子が父を乗り越える展開、最後にはまるでエピソード6のラストのように投影される様はまさにスターウォーズ!胸アツ!!


なんて冗談はさておき、、笑
非常に見応えがあった。

待ち望んだシャイニングの続編ということ、キューブリックのシャイニングが原作者キングの想い描いたものにならなかったこと、そしてフラナガンの本作をキングが絶賛しているという前情報により、本作への期待値は相当なものであった。
何よりもまず、自分はキューブリックのシャイニングがとてつもなく好きなのだ。ストーリーは確かに雑さ、甘さが残るところは否めないが、恐ろしいほどのシンメトリーな映像へのこだわり、迷路や廊下を用いてダニーを後ろから追いかけるカメラワーク、そしてほぼ3人のキャストだけで、閉鎖的な空間の中、追い詰められる家族の有様を描く過程では、ずっと真綿で締め付けられているような感覚に陥る。
2020年まで生きてきてシャイニングたる映画は他に類を見ない。
正直、本当に恐ろしい映画だ。

そんな圧倒的な期待値に対して、本作はシャイニングの原作ファン及び映画ファンに対して、絶妙なバランスで満足度を高めることに成功したのではないかと感じる。


まず、映画シャイニングを踏襲していた部分から述べたい。
終盤たどり着いたオーバールックホテルにて、双子、血のエレベーター、廊下の幾何学模様等、映画シャイニング好きに対する見事なまでの視覚的なサービス。やりすぎだという意見もあるが、そもそも前作自体がすでにやりすぎていたので、自分は堪らなく高揚を覚えた。
これは、フラナガンがキューブリックが描くシャイニングの世界を愛し、さらに昇華させる存在となっていることを物語っている。また、フラナガンの映画愛に溢れたキューブリックへの敬意とも捉えられる。
なによりも好きなシーンは酒に溺れたジャックと大人になったダニーのバーでの対話シーン。人が酒を飲み、酒が酒を飲み、酒が人を飲む。そうなって家族を失ったジャックを乗り越えるダニーの機微が見事に表現されたシーンだったと思う。

一方、原作に忠実に向き合った点としては前半でシャイニングの脅威について丁寧に描いている点だろう。ダニーの幼少期から始まるストーリーはグッと引き込まれる。

バンパイア集団とシャイニング少女との戦いもエンターテインメント性に溢れている。
ダニーが少女に加担し、かつての父と向き合いつつ、少女を救うという本枠がとても忠実に再現されているため、ストーリー展開に退屈な印象は全く受けなかった。

詰まるところ、この映画の見所は、フラナガン監督が、前作シャイニングに最大の敬意を払いながら、キングが作り上げた物語を忠実に映像化し、期待値を超えてきたところにある。
原作ファンにも映画ファンにも愛される、とてもバランスの取れた作品に仕上げられていたのではないだろうか。
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