ゆゆこ

大人は判ってくれないのゆゆこのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.6
「お母さんが死にました」

その一言で蘇った"I Killed My Mother"の<母殺し>。
本作でも家庭でうまくいってない14歳の少年が繰り広げる少年期の苦悩や貴重な経験が描かれているが、マイマザーとは違った苦しみがあった。

"大人は判ってくれない。嘘を言ったって、本当のことを言ったって、どうせ何も変わらないんだ"

<大人>という理不尽な存在に、自分でも解決策の見つけられないまま反抗に走る少年の姿は、辛くて、惨めで、複雑だが、やはりそれはどこか子どもらしい。

"大人は判ってない。子どもがどれだけ<知っている>かを。繊細で敏感で脆いのかを"

しかし盗みをして署に車で連行され、過ぎてゆく街並みに、ひとり静かに涙する少年の姿。両親の喧嘩を寝室でそっと聞いてしまう少年の表情。母親の不倫現場を目撃してしまった時の眼差し。自分が望まれない子であったと自ら女医に胸の内の秘められていた寂しさを語るシーン。

どれも問題児として扱われ続けた少年が見せる繊細な生の表情がとても印象深く残る。

"大人はこれからもきっと判ってくれない。…そうでしょう?"

ラストカットで私たちに向けられる少年の眼差し。ドキッとする。理不尽と反抗を繰り返し経験してきた彼のその眼差しには、ただただこれからどうなるのか分からない不安の影が差していたように見えた。

終始少年から距離を置かれるようで、少年の心情が生々しく感じられた作品だった。その点では私的にマイマザーと似たような感じを持ったが、明らかに本作には、その作品のような<洗練された>感情表現とは違う、荒いがリアルで繊細なそれを感じられた。