かなり人を選ぶ映画だと思います。
微妙という意見がとても多いのもわかりますが、わたし個人としては、今までに見た恋愛映画の中で一番好きでした。
恋愛映画が好きではないので、なんとなく見ていたのですが…本当に胸にきました。
まずこの映画をお勧めするとしたらはっきり伝えたいのは、綺麗な映画ではないということです。
すごく物語的で、誇張とかご都合とかもちょいちょいでてくる、リアルではない物語です。恋愛映画にはありがちな、夫婦のあり方とか展開諸々が、リアルじゃないんですよね。フィクションなのでそれはいいし私は気にしないのですが…
問題なのは、リアルじゃない物語なのに、人間関係の距離感とか、恋愛感とか、シーンひとつひとつが妙に生々しかったりする所だと思います。
リアル路線を求める方には、全然リアルじゃないと「引っかかる点」ばかりで好きになれないと思いますし、
純愛を描いた作品として、美しいプロットやキャラクタ設定を求めている綺麗な映画が見たい人にも、受け入れられないんじゃないでしょうか。
そもそもあらすじを読んで、あーこういう系苦手…と思った人には特にお勧めできません。それでも見てください!とはならないです
しかし、私個人としては、この絶妙な温度感が本当に心臓にきまして、見ている間ほぼずっと泣いてました。
開始してすぐ、オープニングの前に10分もかけて見せられるのは、生々しいんだか、馬鹿馬鹿しいんだか、リアルなんだか物語的なのかわからない、なんとも絶妙な夫婦二人のやりとりのシークエンスなんですよね。私はここで、この2人なんか好きだなーと、ぐわっと2人に引き込まれたのですが…この、なんとも言えない不安定な温度感がこの映画を象徴しているのかな、と思いますので、冒頭でなんやこいつら?となり2人を愛しく思えなかった人は回れ右したほうがいいです!
しかし、ここからオープニングが開けたら、突然の展開に呆気に取られました。
本当に呆気に取られた、という感じ。
そのシーンまでの一切合切を、この後回想でもはさまない潔い演出がかなりクセになります。
そして、ここから先、明言は避けますが
微ネタバレしますーーーーーーーーーーー
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この後、主人公はどんな展開においてもほぼ、泣きません。
なんかあっさりしてるように見えるんです。が、きちんと見ていると、とても生々しい悲しみに支配されていることが、ちゃんと伝わってくるんです。
(そして、だからこそ主人公が唯一泣くシーンは、重みを感じます)
私は、いかにもお涙頂戴の悲しみに暮れる描写、変にさやしい描写を挟まれるよりも、この映画で描かれている、淡々と確実に欠けている感じが、一番共感できました。
主人公が何かするたびに、何故か涙が溢れていました。
物語的に見栄えする画作りとかキャラ作りじゃないんですよ。明るくも暗くもない、どちらにも割り切れない場面や雰囲気が、人の死に対面した現実として、微妙に生々しくぐちゃぐちゃしてるんですよね。見ている側はどういう態度で鑑賞するべきなのか、悲しい物語なのか、前向きな物語なのか、応援する物語なのか、わからずに気持ち悪くなると思います。
でも私が好きな所は、紛れもなくそういうところです。だからこそ、唯一紛れもなく信じられるアイラヴユーの手紙に主人公は縋るし、私たちもその手紙を通してしかこの映画に感情を向けられなくなるのかな…と。
キャラクタのそれぞれの役割も、そうなんです。
このキャラなんでいたの?物語の役割としている必要ある?ただ状況を複雑にしただけ、いてもいなくてもよかったじゃん、何でこの属性が必要だったの?なんでそうしたの?…そういうキャラが目立つんですよね。
周りの人々、特に友達は支えにはなりますが、結局支え切れるわけでもなく、寄りかかったり、突き放したり、仲良くしたり、共有したり…
いいキャラなのか、重要なのかそうでないのか、キャラ立ちしてるのに出てこなかったり、関わってこなかったり…
なんとも気持ち悪いキャラクタの距離感が、多分受け入れられない人がいるんじゃないでしょうか。
でも、私が感じたのは、気持ち悪さではなくて、あ、生々しい人間関係そのものだ。って感想でした。
物語の中ではあたりまえの、永遠の友情とか、そういうよくわからない様式美がないんですよ。
心に余裕がなければ、どうでもいいって思っちゃう。心に余裕があれば、つながってたいと思う。すごくわがままで美しなくないんですけど、めちゃくちゃ共感できました。
だから私は、一人一人のキャラクタとの関係性全て好きですし、私は面白いなと思えました。
一番よかったのは、主人公の2人の話です。
手紙を通して浮き彫りになってくる2人のロマンスの数々が、全部愛おしいんですよね。こんなロマンスファンタジーじゃん、とか、ありえないこんなのーっていう感じの話もありますし、全然ロマンチックじゃない、けど、淡々としてるわけでもない回想があったりするんですが
そのどれもが私は大好きで、いいなぁって思いました。
どういう人にお勧めなのか、本当に難しい映画だと思います…。
完全に好みってだけなので、
是非見てくださいとは言えませんが
少なくとも、私のレビューを見て、それでも面白そう!って思た方は、是非お勧めです